2009年 09月 28日
エディー・パルミエリ@Blue Note(1)
今回2年ぶり、92年、02年、05年、07年と来て5回目の来日。トロンボーン2本のトロンバンガでやってくるのは初めて。

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NYから連れてくるメンバーも皆達人で、それも見逃せなくて、結局、4日・5ステージ行ってしまった。

しかし、それだけのものは当然ありました。ステージもそうだし、パルミエリ御大とのPerfecfta Iのころの話、ネルソン・ゴンサレスのトレスやアルセニオの話、若いころの勉強・練習の話、エルマン・オリベーラのソネオの話、ルケスのジャズとラテンへのベーシストとしてのアプローチの話、ジミー・ボッシュのラテン・ジャズはやらないという話、クリスのNYでの活動の話、ジョニーのポンセーニャ時代の話、NYで活躍するYOKOさんの話、ホセーとのシュークリームの話、カリーンとのコーネル・デュプリーの話・・・。

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実は某雑誌のインタビューを他2名の方々と一緒にさせてもらった事もあるのだけれど、インタビューの場に加え、ステージの合間や後の楽屋での話にも面白い話が一杯。

5ステージ、出来・不出来は色々、おおざっぱに言って後になるほどまとまって来るのは当然だけど、やはりそのステージ、ステージでハイライトがあり、見どころ・聴きどころありでした。


メンバーはエディ・パルミエリ(p)、エルマン・オリベーラ(vo)、クリス・ウォッシュバーン(tb)、ジミー・ボッシュ(tb)、カレン・ジョセフ(fl)、ネルソン・ゴンサレス(tres,coro)、ルケス・カーティス(b)、ホセー・クラウゼル(timb)、ヴィンセント“リトル・ジョニー”リベロ(conga)、オルランド・ベガ(bongo)

曲目も2曲は共通だけど、その日によって色々。全部書いていると、長くてきりがないので、各々の日のハイライトを。(各ステージのセット・リストと収録アルバムま纏めてこちらへどうぞ→)

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◆2009. 9.23 WED. <1st>出だしの"AJIACO CALIENTE"はなんとなく、暖まらない感じ。他のメンバーがカジュアルな中、エルマン一人がスーツでびしっと決めている。顔が真剣、というかちょっとコワイ。同時に、ソネオの時のしぐさ、マラカスの振り方、どれをとっても決まってる。そしてそのソネオが、曲を引っ張って行くのがよく分かる。
次のキュートな"SUAVE"ではもう大丈夫。大きな波に揺られるようなモントゥーノ。

そして"OYELO QUE TE CONVIENE"。これはネルソンのソロがすさまじく良かった。トレスはリズム楽器だ、と楽屋で話してくれた彼だが、モダンなメロやコードと、オーセンティックなリズムのコンビネーションがめちゃくちゃかっこいい。あまりの激しいストロークで弦を切ってしまう。わお。

"CUIDATE COMPAY"のトロンボーン、エディーが日本とファンに捧げた新曲"JAPON-GO"でのホセーのソロもこの日のハイライト。最後の曲は"COMPARSA"。"JAPON-GO"から"COMPARSA"で終わるのは、多分そのセットも同じだったと思う。

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◆2009. 9.24 THU. <1st> アドラシオンのモチーフのピアノ・ソロで始まる"BILONGO"。
エルマンのソネオは色々に変化。Bujeriaのフレーズを織り込んだと思ったら、次はQuien sera、そしてMalanga。そしてルーケスのソロからパルミエリのソロへ。得意の半音上昇の後に、長三度と短三度を重ねる濁った和音をさらっと叩きつけ、おお、っと脅かし四度ブロックの半音下降しホールトーンをガーンと一発、といった具合。うなってました。パルミエリ節を堪能して、ソロはカレンへ。トロンボーンのモニャがかぶりリズムが上昇して行く。もうちよっとカンパナの抜けが欲しい。あ、ベースの2弦が切れた!

しかし、ルーケスは三本でしっかりリズムをキープ。次の"LAZALO Y SU MICROFONOでも問題なし。
カレンの次はエディーのソロ。フレーズはシンプルでもあのドライブ感というかタイム感は他の人のトゥンバオ/ワヘーオとは違う。フー。
エルマンのソネオは"ハポネサへがリズムに乗っている、ペルフェクタは楽しんでる、バンドは即興してる(Inprovisanndo)・・・と続きカレンのソロへ。ジョニーが全体の音を厚くしてくる。大波だ。

"AJIACO CALIENTE"は ネルソン、カレン、ジミーとソロが回り、"CUIDATE COMPAY"へ。ネルソンのソロ。ゴリゴリとスタートした音は、アルセニオだあ。そしてテンション半音下降フレーズ。ほんと気持ちいいタイミングだよ。

次の"JAPON-GO" クリス、ジョニーのソロが終わったところで、トロンボーンのモーニャと同時にカンパナが入ってくるタイミングが絶妙。かゆい所に手が届くというか。オルランド、いいね。最後の"COMPARSA"はテーマは短くすぐジョニーのソロに入り、わりとあっさり纏めた感じだった。

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◆2009. 9.25 FRI.
<1st>ADRACIONのモチーフのエディーのソロから1曲目"AJIACO CALIENTE"に。
オルランドのカンパナが気持ちいい。2日目から比べてどんどん良くなってくる。
パルミエリとネルソンのぴったり息の合ったワヘーオ。そこでパルミエリが軽く遊ぶ。ルケスがそれにピッタリ付いて、アゲなフレーズでは軽く煽り、抑えるとぴたっと基本のトゥンバオに戻って空間を埋める。そうだよねえ。ラテン・ベースの基本だよなあ。これはネルソンが下をしっかり押さえてるからできるんだよなあ。そしてカレン。トロンボーンのモーニャが入ってくる。早くも熱い。エルマンのソネオも良い。

2曲目"SUAVE"は エルマンが父親に捧げた曲。カレンのフルートが心地良い。トロンボーンのモーニャでモントゥーノに入り、コンガ、ティンバレス、フルートの受け渡しのちょっとした合わせがハマる。そしてティンバレスが少し煽ってジミーのソロ。ゆったりフレーズでジミーのトロンボーンが歌を歌う。チャチャチャはキュートなフォームだけど、中にいくらでも情熱を埋め込むことのできるフォームだよなあ。シンプルなチャチャもうまい人は、中にたっぷりと遊びを詰め込んで踊れるんだろうな、とかダンスの事を思う。

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"OYELO QUE TE CONVIENE"。
オルランドのボンゴ。ほとんど切れ目なしのソロ。自分の出番にここぞと気合いが溢れ出している感じ。エルマンのソネオ、クリスのトロンボーンがぶわっ来る。その間のエディーとネルソンのワヘーオがすごい。あの一体感と力強さ。そして時に繰り出す過激さ。このペルフェクタIIの魅力は違った世代が集まり、パルミエリの手の中で、そして時に手からはみ出て音楽を作っているとこだと思う。

"CUIDATE COMPAY"では、「secret weaponを出します。ネルソン・ゴンサレスのトレスです」とパルミエリが紹介。チャチャからモントゥーノに入りネルソンが爆発、そしてカレンにもどると、ブルーノート(スケール)を感じさせるぶっといトロンボーンのモーニャが支える中、フルートが大きくあそぶ。

次の"JAPON-GO"ではオルランドのコンガが最初から盛り上げテーマのあと、クリスのトロンボーン。ソネオが歌いこまれ、そしてホセーのソロ。ジョニーが絡み、ネルソンが絶妙な煽りを入れる。ソロの間のエルマンのマラカス、そしてステップがカッコよすぎ。最後の"COMPARSA"はネルソンのソロ。トロンボーンのモーニャ、そしてルケスのソロへ。この速い曲でどうする?と思ったら、さすがバークリー仕込みのテク。しかしテクよりもバンド全体のビートの強さを変えないアプローチのソロ。こういうところがジャズと違う。そしてジョニーへのソロがまた盛り上げエンディングへ。ふう。

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<2nd>
"RITMO CALIENTE"はエディー、カレンとソロが回り、"salt peanuts"のフレーズでかわいく終わる。
そして"LAZARO Y SU MICROFONO"へ。 エディーのソロはチャチャのリズムに乗ったオーセンティックな導入部から、得意なモーダルなハーモニーをばらまく。後半のモントゥーノはジミーとクリスが"Pa' Huele"を思わせるモーニャを繰り出す中、エルマンがソネオで入ってくる一瞬がめちゃかっこよかった。そして一丸となって、大きなうねりへ。

"EL MOLESTOSO" のルケスのソロでは会場一体となってクラーベで楽しむ。ソロは、とてもルケスらしい。ジャズとラテンのイデオムが彼らしいバランスで入り込む。ジャズではクリスチャン・マクブライドが大好きだと言っていた彼だがさすがバークリーで鍛えたテクは確か。しかしラテンのベースがリズムであることを十分意識したかっこいいソロ。

"MUNECA"は エディーのちょっとしたソロでスタート。プエルトリコ的哀愁がなけるこの曲は大好き。エルマンの変化に富んだソネオが曲をドライブさせる。実はこの日のハイライトはこの曲。

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きっかけはネルソンとエディーのソロの応酬。ネルソンがディミニッシュ=オルタードなイデオムを2/4-4/4-8/6なリズムで畳みかけエディーが密集型コードでリズムを叩きつけるソロで返したときは会場から思わず拍手が。いやー、サルサ・フォーマットで控えめな今回のエディーのソロの中で、やるときはやってくれるもんだ、やっぱり。73才対60才の対決の熱さにそのあとのエルマンにソネオ。このあたりで会場も我慢できなくなって、前列、そして後ろと踊り出す。ジョニーのソロが実に気合い入っててこれも最高、その後のジミー・ボッシュもエナジー!モーニャに移っても手抜きなんかなし。
サルサでのソロはジャズのように長くない分ああいう場面では、各人が強力な密度で攻めてくるのが魅力。いい演奏だった。

次の"JAPON-GO"。Em/Em7A7-D7/D7G7-CM7sus4-B7のサルサおなじみの進行でスタートする哀感なメロ。エルマンの日本女性/バイラドーラへの賛辞のソネオのあとトロンボンのモニャからソロへ。そしてエルマンのソネオが、カレンのソロが、トロンボーンの咆哮が煽り、最後の"COMPARSA"へ。

速い曲でもネルソンが顔色変えずにハードなソロをかまし、エルマンが客を煽る。名前よばれちまいました。そして、ジョニーのソロへ。ジョニーのコンガはD,A,Gにチューンしてあるから途中でルケスが同じ音程のトゥンバオでからむのが楽しい。そして変幻自在のソロ。そう、ソロにメロがある。
そしてコンパルサにもどりコンサートの謝辞を織り込み、エルマンがウエーブを煽る。"Onda! Onda como es en Puerto Rico!"(さあ、ウエーブ!プエルトリコでやるみたいに)って言ったのが面白かった。そしてクライマックスへ。良い出来の夜でした。

(続く)
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by mofongo | 2009-09-28 02:30 | Musica/SALSA


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