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2009年 11月 06日
Bomba Estereo/ボンバ・エステーレオ@UNIT, 代官山
去年くらいから「デジタル・クンビア」とラベルを貼られた一連の音があります。

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「テクノ・クンビア」の進化形か?とボケたこと言いながら音盤を何枚か買って聴いたらなかなかカッコ良い!(テクノ・クンビアとは全然別)

アルゼンチンやらコロンビアやら欧州やらのデジタル・クンビアの中で、やっぱ自分はコロンビアが良いなあ、と思っていたら、なんとBomba Estereoが来日するっちゅうじゃないですか。これは行って生で聴かねば!

6月に旅先で買ったラテン誌に彼らが"今、旬のアーティスト"として紹介されていたり、iTune LatinoのSong of the Weekになったり、マクドナルドのプロモに使われたりと気になっていたのだ。

→YouTubeで"Fuego"のPVを見る

→YouTubeで"La Boquilla"のvideoを見る。La Boquillaはカルタヘーナの海岸。コスタです。映像はそこの子供たち

◆◆◆
場所は代官山のUNIT Saloon. クラブ・イベント「BLOC DE L'ECHO 8」です。このUNITって初めて行ったけどラウンジ2つとライブ・フロアとが地下3層になってって面白い。
ボンバ・エステーレオのスタートまで、3ヶ所のDJ聴き比べ、ビールをしかたなくグビグビ飲んで&23時過ぎのスイスからのミニマル/アンビエンテ系のnik bartsch’s RONINのライブを楽しんだりして待つ。

しかし、ラテン好き系の人には会わなかったなあ。OさんとFさんくらいか。そこで知り合ったクラブ音楽好き(?) ガールズはコロンビアもクンビアも分からないけど良さそうだから来た、楽しみーって言ってた。さてライブに皆どう反応するのか?

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25時過ぎにステージに現れたのはシモン・メヒーア(b, programming)、キケ・エグローラ(ds)、フリアン・サラサール(g)の3名。

フリアンのギブソンSGとエフェクター群からエレクトロ、サイケっぽいノイズ音が広がる。シモンはサンプル・コントローラーのようなものも操作して、ハードというより細かなエッジのある混沌さを吐き出していく。そこへボーカルのリリアーナが登場。ビートが一瞬で爆発する。フロアは待ちかねたように反応。皆の期待の目がステージに注がれる。




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ベースの強いリズムとタイトなドラムの上にギターが霧をかけ、リリアーナのボーカルが発射される。歌とラップを繰り出す彼女の魅力はとてもキュートだが甘すぎず、センスアルだがエロチカでない不思議なバランスの声だ。高速なタテのりジャンプから中速なクンビア系、ブジェレンゲ系、チャンペータ系、レゲエ系まで次々につないで煽って来る彼らに、フロアはもっと弾けたいという圧力が充満。

「90年代のブリストル系が大好きで、いまはドイツのリズム&サウンドのようなエレクトロニックなダブに惹かれている」とインタビューで話していたシモン。







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たしかにそれらの音のイメージは強いが、クンビアのリズムのニュアンスはやはりベースに出る。いやただクンビアだけというより、コスタ・カリベ、コスタ・アトランティコの猥雑なニュアンスだ。ドラムも脇にタンボールを置き叩く。

そして何より、リリアーナのボーカル、というよりラップのスタイルやノリにコスタを強く感じる。それは今のラテンのオルタナティブには欠かせない強さ。各々の場所のある音に対するレスペクトによって自然に染み出してくる強さだ。ある曲で一瞬Calle 13のスタイルとも重なって聞こえたのはそのせいかも。

ライブはばっちり成功。「かっこよかったね」と話す回りの声がたくさん聞こえた。


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ステージの後、シモンとリリアーナと少し話した。シモンはボゴタっ子だが、リリアーナはサンタ・マルタの出身だった。なーるほど。サンタ・マルタはコロンビアの北部のカリブ沿岸の都市。港町のバランキージャのすぐ隣だ。クンビアそしてバジェナートの地元、バランキージャのカーニバルの地元なのだ。カルロス・ビベスもここの出身。

→YouTubeでカルロス・ビベスとの共演のさわりを見る。最後に"Que Viva Santa Marta"つって言ってるのが良いすね


彼らの音は全然フォルクロリックじゃない。コスタの音は彼らの音の表面積には見えないのだ。でも、伝統の音を楽しみレスペクトしていればどしても染み出るものだと思う。
それが、彼らが今創ってゆきたい音をより魅力的にして、広がっていく。

先日、あるラテン音楽ジャーナリストの方とキューバ音楽を楽しんだ。カルロス・エンバーレの声は素晴らしかったし(顔も)、パンチョ・アマットのトレスも泣けました。でも、お話する中で強く驚いた事あった。

「キューバ音楽はほんとうに歴史があって深いよね。NYのサルサは根っこがないからダメなんだ」

そうなのか?NYのサルサがお好きでない事は問題ないけど、根っこがないの?だいたい根っこのあるなしって良し悪しなのか?。

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一人ひとりの人間に根っこがない事なんてありえない、育って行く中で必ず何かが根っこになる。それと同じでどんな音楽にも根っこがある。根っこのない音楽なんてないだろう。
日本の音楽でない日本人のクラシック・ロック・ジャズ・ラテンは全部だめになっちゃうし、日本の音楽でない、自分の根っこでない音の事を書く日本人なんかもっとダメじゃん、と思いました。

で、なんの話かというと、
オルタナティブな音はボンバ・エステーレオの素直な今だし、地元の香りが染み出ることも彼らの個性。そんな根っこがうまくかっこよくかみ合って少しずつ新しい音ができてくんだろうなって事。

翌々日からアメリカ・西海岸のツアーだって。忙しいね。かっこいい音が受けるといいなあ。

by mofongo | 2009-11-06 21:29 | Musica


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