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2010年 10月 20日
くそ暑かった今年の夏は、アフリカに住んでいたころ大量に買ったカセットをよく聴きました。 あの頃のアフリカの地元には、あんまりLPの音源はなくてもっぱらカセットテープ。パリやロンドンに出ないと音盤の品ぞろえはなかった。 ラジオやディスコでは"ルンバ(コンゴレーズ/ザイロワーズ)"や、"マコッサ"、"ビクティ"、"アシコ"といった地元の音、"ジュジュ"や"アフロ・ビート"といったナイジェリアの音、そしてソウルとサルサが流れてた。だからディスコの選曲は最高ヒップだった。 今あの音を並べてDJしたら最高に面白いだろうな。思い出してやってみようかな。 そんなこともあって日比谷野音の『World Beat 2010』に行ってみた。 会場はベンダ・ビリリ効果か、最初から9割方埋ってる。 1バンド目はジャスティン・アダムスとジュルデー・カマラ。 Justin Adams & Juldeh Camara's "Ya Ta Kaaya" http://www.youtube.com/watch?v=YTFAK3eCAug UKのジャスティンとガンビアのジュルデーの組み合わせにドラムが加わる編成。 「ライクーダーとブエナ・ビスタ」だったら、なんかやだなぁ、と思って聴いたら全然違った。ツエッペリンだった。 ジャスティンはロバート・プラント・バンドのメンバーでもあるけど、もちろん単純にツエッペリンな訳もない。 そしてツエッペリンでも「モビー・ディック」とか「ロックン・ロール」より「ホール・ロッタ・ラブ」とか「イミグラント・ソング」の世界のあたり。 Led Zeppelin - Whole Lotta Love http://www.youtube.com/watch?v=HQmmM_qwG4k&ob=av3n 当時、クラプトンもベックもブルース進行ベースな時、ジミー・ペイジの曲はそれにとらわれない別の世界を持っていた。その一つが何だか分かったのはJBを知ってからだ。レスポールとマーシャルでファンク。 そしてジュルデーのプレーする単弦フィドルのリッティは素晴らしい表現力。1弦しかない、フレットがない点から来るエネルギーに圧倒される。ここでも、ジミー・ペイジのボウイング奏法やテルミンとのアナロジー。 「砂漠のロックンロール」っていうフライヤーにあるフレーズから来るイメージよりより、もっと強力でしなやかなビート、濃密な反復のリズムの中をうねる砂漠の縞ヘビのような鋭さが素晴らしかった。 各々がルーツに降りて行って接合点を見つけたような音にパンチを食らった。独特だ。 Justin Adams & Juldeh CamaraのMy space http://www.myspace.com/justinadamsproducer 2バンド目はビクター・デメ ブルキナファソの歌い手。今年5月に来日してる。 Victor Deme - FMM Sines 2009 - 18 de Julho http://www.youtube.com/watch?v=ye29rNpAe7E 最初の方はリズムおとなし目。歌を聴かせながらサウンドは欧州的イデオムを感じる。しかし、「歌」が良いのです。祖母がマンディンゴのグリオだという家系の影響もあるのかも。「歌いたいこと」が表に出ていると感じる。 "Toungan"や"Sere Jugu"などからリズムが前に出てきて体が揺れる。 バックのギターは時にスパニッシュやヨーロピアン・ラテンの香りが浮き立つ。そして、西アフリカ共通のコラの響きのような奏法を出すと思えば、コンゴレーズなアップテンポな音にも変わる。 パーカッションやコラの響きも美しい。その上に、デメの歌が流れて行くステージだった。 3バンド目。既に空は暗くなっている。スタッフ・ベンダ・ビリリの登場。会場から大きな歓声。 Staff Benda Bilili : de l'ombre a la lumiere http://www.youtube.com/watch?v=UCPOIIjFa1U あー、ルンバ・ロックの香りがいきなり湧き立つ。キーはギターだ。ルンバ・コンゴレーズのゆったりした感じと、JBの影響以降のルンバ・ロックの力強さが混じる。 フロントの5人のボーカル、リッキー/Ricky、ココ/Coco、テオ/Theo、ジュナナ/DJunana、カボセ/Kaboseは各々の個性が違うのが魅力。 そしてバンドのカラーを大きくサポートするのはロジェのムトンゲ。これも手作りの単弦フィドル。 この楽器はギターでバイオリンでシンセでテルミンなのだ。強力。かっこいい。 曲調はいずれもシンプルで力のある作品。訳詞がステージ後ろに映し出されるのがありがたい。 "Moziki"、"Moto Moindo"、"Polio"、"Je t'aime"、"Marguerite"と続く。 そして"Sala Mosala"、"Mwana"、"Staff Benda Bilili"などなど。 最後の"Tonkara"は出演者全員が舞台に上がりフィナーレ。会場も総立ちでリズムに身を任せていた。 http://bendabilili.jp/ 今回の3つのバンドで共通に感じたのはギターの力。 西~中部アフリカにはコラに代表されるような弦楽器の伝統があって、パームツリー・ミュージックやルンバ(・コンゴレーズ)のように外のギター入り音楽を受け入れる土壌があったからなんだろうか。 とにかく、3つのバンドにギターのアプローチは全く違うのだけど、各々のキーとなっていた。 そして同時にリッティ、コラ、ムトンゲの3つの弦楽器。 各々が自分自身のルーツから来た音をしっかり持っているからギターという強い楽器に負けないのだと思う。 そしてパーカッションがグルーヴを作るというより、バンド全体と声や楽器のメロディーがグルーヴを作っていたのも気持ちよさの理由。 家に帰ってからアフリカで買った小さなハンド・ハープを久しぶりに取り出した。 そしてフランコのTPOKのLPをかけて適当に弾いてくうち、セベン(ダンスパート)でなんだか盛り上がってしまった。病気だ。 Dalienst et Franco's TPOK Jazz - Bina Na Ngai Na Respect http://www.youtube.com/watch?v=qduHrEmUtjU キンシャサの下町のにおいが頭に蘇った夜。
by mofongo
| 2010-10-20 22:33
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