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2011年 01月 29日
旅日記 '11.1 捕獲CDから(1) モハメド・アブドゥ
ドバイ、レバノンで地元CDを捕獲。

旅先でのCD捕獲は、店のおっちゃんや兄ちゃんに教えてもらえるのが楽しい。
ネットの情報見てネットで買うのとやっぱりちがう。

*カタカナ表記は日本のネットや本、聞こえた通りの音で。アルファベットはCDになければネットのを。でも結局アラビックの発音からするとどれもピッタリでないのだ。

まずはネットでも日本語情報の限られる湾岸地域の音Khaleej(カレージ/ハレージ/ハリージ)

1.モハメド・アブドゥ(Mohammed Abdu)

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このかぶりもの(ゴドラ/ガットゥラ/グドラとアガール/イガール)と服(カンドーラ)だけで泣けます。まさに湾岸の男。但し、この服は薄茶色とちょっと湾岸っぽくないですが。

このサウジアラビア出身のおとっつあんは1949年生まれだからもう61才。でもまだまだ新譜を出し続けてる大御所です。アシール(Aser/Asseer/Asir)というサウジの南西地方の出身。
ペルシャ湾岸ではなく紅海側ですね。山脈が連なりかなり雨も降るという一般のサウジと違うイメージの場所。

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このアシール地方は相当古い歴史をもっています。で、もし聖書とか、ユダヤって何?とか思った事あって突っ込んで見た事のある人なら『聖書アラビア起源説 』(草思社/カマール サリービー 著, 広河隆一、 矢島三枝子訳)読んだ事あるかも。すごく面白い。

「古代イスラエルは今のパレスチナ地方じゃなくて、このアラビア半島のアシール地方にあった」って研究の本なのです。

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そんなアシール地方出で、3歳の時に孤児になって、でも苦労して高校まで出て郵便局に勤める傍ら、歌い曲を作って、ラジオ局に認められ・・・という苦労人のアブドゥとっつあんのすこしざらっとした声は魅力的。郵便局員で作曲そして・・・というと、ティテ・クレ・アロンソが浮かびますね。

なにせ、オーセンティックなアラブ・湾岸歌謡の大御所ですからサウンドはストリングス隊とダルブッカ(タブラ)などのお約束の音に、アラブ特有の1/4音(微小音程/中立音程)を使うマカームによるメロディーの歌が美しい。何歌ってるかはよくわからないけどメロに乗るとハマる。

途中からテンポが上がる曲でも、ストリングスと掛け合いが激しくなる曲でも、アブドゥとっつあんは、熱くなる事無く、落ち着いた「語り」のような歌いぶりがこれまた魅力です。

アラブと言っても湾岸とトルコとレバノンとエジプトとマグレブでは相当違うし、湾岸と一言で言ってもサウジ、オマーン、カタール、UAEと違いがある。

そんな所を、音を手掛かりにゆっくり紐解き、アラブの事、ユダヤの事、イスラエルの事、パレスチナの事、マグリブからアンダルースの事・・・をもっと知ってカリブの音の手掛かりも探し続けたいなあ。

(例えばエジプトの男の衣裳をガラベーラ(Galabera)っていうのけどそれって西語圏カリブのグァヤベージャ(Guayabera)とどっか関係あるのか?とかね)

by mofongo | 2011-01-29 01:07 | Musica


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