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2007年 07月 09日
自分にとってのカリブ海との出会いは、音楽だった。 カリプソ、レゲエ、サルサ、メレンゲ・・・。深追いしてソカやメント、スカやコンパ、ヒバロにグアヒーラにソン、ボンバにルンバ・にズーク。どれも素晴らしかった。 縁があってカリブ海に住み、西語圏以外に、ジャマイカ、トリニダードなど英語圏、グアドループやマルティニークなど仏語圏、キュラソーやアルーバなど蘭語・パピアメント語圏に何度も旅をした。帰国しても中米や南米のカリブ側を含め1年に4-5回カリブ海に旅を続けている。 その中で分かったのは(本当は入り口だけど)カリブの豊穣さには個別の音楽の種類を超えて共通ものがあり、それがとても深いという事だ。 そしてそのサルサやソンやソカやレゲエやレゲトンまで共通するフィーリングを感じた時、各々の音楽独自の素晴らしい点がよりはっきり聞こえて来る。 今回のカリブへの旅に持参した『カリビアン・フルーツ/Caribbean Flutes』と題された赤木サンノ新譜を聴いた時浮かんだのはこの事だった。 赤木さんは、オルケスタ・アラゴンのリカルド・エグエスと現地で何度も交流があるように、まずキューバからカリブへの傾倒が深まったとの事。そしてプエルトリコで暮らしどっぷり"カリブ漬け"になった事がその後の作品の大きなバックグラウンドになっている。 そして、今回の新譜。 「ラテン・ジャズ」とか「トロピカル」という言葉だけでは括れない。カリブが持つ広がり・多面性をたっぷり感じた。 それはプレーナ、メレンゲからレゲトンまで共通するシンコペーション、クラーベの乗るサルサやルンバ、マイアミと繋がるよりむしろNYと繋がるようなカリブと本土の相互影響、クラシック・欧州の背景などなどなど。 ミッシェル・カミーロのピアノとのデュオが強力にドライブする1曲目の"Caribe"、クラシカルなテイストの7曲目"Remenbrance"。動と静、強い日差しが照り返す波と夜更けの凪。デュオというシンプルかつ緊張感あるやりとりが情感に訴えイメージが大きく膨らませる。 プエルトリコのメンバーとの曲も多様だ。島を代表する作曲家ラファエル・エルナンデスの"El Cumbanchero"をルンバ、ラテン・ジャズ、デスカルガとパターンを変えて聴かせてくれるかと思えば、フレディー・ハバードの"Little Sun Flower"をTito Allenのボーカルでソウルフルに聴かせる。 前作に収録のボンバ味の"Soul Makossa"をルイス・ペリーコ・オルティスによるレゲトン・ミックスで料理したり、とても赤木さんらしい作品"El Paraiso"でのメロディー、親しみやすい"Neverending Story"、そしてエドウィン・コロン・サヤスのティプレとのデュオがとても泣ける"スリエちゃんの子守唄"と、さまざまに楽しめる。 カリブが色々な要素を取り入れ、取り込み、自由に新しいものを生み出すエネルギーを持ち続けてきたのと同じように、赤木さん自身が「カリブ」である様な音の創り方を志向している。むしろ素材からよりもその点からカリブを感じたのかもしれない。 タイトルの『カリビアン・フルーツ/Caribbean Flutes』ではフルートに"s"が付いた複数になっている。単数では表せない深い多様さを持ったカリブをからのエネルギーを受け取り、自らの多面的な姿を聴かせてくれる、そんな意欲的な音がカリブの豊穣の素晴らしさを感じさせてくれているのだと思う。 →JVCのサイトで聴いて見る
by mofongo
| 2007-07-09 17:48
| Musica
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