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2008年 04月 27日
実家のレコード(1) マイルス・デイビス
用事で実家に行きました。用を済ますとふと父親のレコード・コレクションの事を思い出した。

物心ついた幼稚園の頃からレコードをターン・テーブル載せ遊んでたのはうっすら覚えている。
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自分で初めて買ったレコードはビートルズだったかクリームか、はたまたジャクソン5などのLP/アナログ盤だったかだけど、親父のレコードはSPからLPまで色々。
SPは150枚くらいか。大学の頃集めたものらしい。




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幼稚園の頃何を聴いてたのかよく覚えてないが、それでも好きだった2-3枚は覚えている。たしかSP盤。

でも、曲目は当然覚えてない。盤の解説にあった絵や写真が頭にあるのです。

ということで果たして何を聴いてたのか?100年ぶりに掘り返して見ることにした。

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覚えてるのは、まず楽器を吹いたり弾いたりしている絵のやつ。結構好きだった記憶あり。ラッパの音してた記憶にあるんだけど。
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うーん、これだよ。たぶんこれだ。この絵だよ。

ああメトロノーム・オールスターズだったのかぁ・・。
早速かけてみる。うーん、これだ。










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メトロノーム・オールスターズはアメリカの音楽雑誌「メトロノーム」誌の1949年から人気投票でのトップ・ミュージシャンを集めたオールスター・バンドの録音があるのです。これは1950年のもの。まだ自分が生まれるずっと前のものを聴いてたんだなあ。(写真はスタンゲッツとマイルス)



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(解説を読みたい方はここをクリック)

解説を見るとこんなメンバー。

ジョージ・シアリング (p),スタン・ゲッツ (ts), マイスル・ディビス (tp), サージ・チャロフ (bs), リー・コニッツ (as), ジョン・ラポータ (cl), マックス・ローチ (ds), ビリー・バウアー (g), テリー・ギブス (vib), カイ・ウィンディング (tb)

記憶に残ってたラッパはマイルスだったのね。

リー・コニッツとのソロもカッコいい。シアリングも素晴らしい。タイミングは『クールの誕生』の後、『ディグ』の前。50年当時の「クール・ジャズ」の人気の分かるメンツですね。

マイルス・デイビス "Coolの誕生"よりBoplicity (1950)を聴く。

マイルス・デイビス at Montreux ”Boplicity" (1991) を見る。

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次に覚えているはサングラスのおじさんの写真。これはアタリがついていた。ジョージ・シアリング。ということで、見つかりました。

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George shearing Quintet
"Jumping with symphony Sid"と"Don't Blame me"のカップリング。

YouTubeでジョージ・シアリングのSwedish pastryを聴く



シアリング・サウンドだなあ。これ好きだったのかぁ。ぜんぜん覚えてない。







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(解説を読みたい方はここをクリック)

メンバーはGeorge Shearing (p), Chuck Wayne (g), John Levy (b), Denzil Best (ds), Marjorie (Maggy) Hyams (vib)とおなじみの編成。

シアリングの演奏は、一聴すると耳に心地よく、また人気があったせいかなんだか軽く見られてるけど、ハーモニーの響きがとても面白い。
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この秘密を教えてくれたのが加藤総夫さんの本『ジャズ・ストレート・アヘッド』だ。加藤さんは今はお医者さんとなり脳、神経科学の研究の第一人者で、ジャズの本は書かれていないのだけれど、自分が知っている頃は、某大学のフルバンを率い、ばりばりピアノを弾かれていた。

その著書の中の「ジョージ・シアリング論」は、プレイヤーで、かつ耳が良くないと書けない文章で目からウロコだった。

「シックッスド・ライン・ボイシング」「4ウエイ・クローズド・ボイシング」「メカニカル・ボイシング」と後で理屈される、ビッグバンドでの編曲手法をピアノ・小アンサンブルに移し変えたシアリングのアイディア、そしてそれがビル・エバンスはもちろん、ハンコックジョー・ザヴィヌル/ウエザー・リポートの響きに繋がっている事に気づかされたのです。

なんで、自分はああいう響きが好きになったのか?というのは、実はこのシアリングのSP盤の幼児体験もあるのか?と今回しみじみ。

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あと、メンバーのDenzil Bestは作曲にも優れたドラマー。彼の曲で好きなのは、トミー・フラナガンの名盤『Eclypso』の二曲目、その名も「Denzil's Best」。ジョージ・ムラーツのベースが奏でるテーマはとても魅力的。

Denzilはブラシワークの上手さが有名だが、このフラナガンの盤ではエルヴィン・ジョーンズがこれまた刺激的なプレーを聴かせてくれている。

この曲は今でも楽器を触ると演ってしまう曲。これもDenzelの刷り込みがあったと言えるのかなあ?

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さて、このSP盤の「ジャンピング・ウイズ・シンフォニー・シド」レスター・ヤングのポピュラーなブルース。
タイトルの"シンフォニー・シド"はNYの有名なDJ。

シドは40年代からジャズの人気DJとして活躍したが、ラテンへの関わりへと傾き、60年代後半のNYラテン、サルサへと繋がる。





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だからジョー・バターンもこの「ジャンピング・ウイズ・シンフォニー・シド」を演ってたりするのだ。

ジョー・バターン "jumping with Symphony Sid"を聴く

しかし、こういいラテンつながりも幼児体験として刷り込まれてたって事?
いや、ラテンの音盤もあったはず。

音楽の幼児体験への旅は続く。

続く

by mofongo | 2008-04-27 22:00 | Musica


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