Viento desde Borinquen
-Ritmo, Sabor y Sentimiento-
2008年 08月 03日
パナマ 08.6-7
パナマはとても面白い。


空港から街に向かうと、いつもの通り高層ビル街が見えてくる。やっぱ他の中米の国々とキャラが違うわ、ここは。

首都のパナマ・シティーはメキシコ・シティー、グアテマラ・シティー、テグシガルパ、サン・サルバドル、サン・ホセといったちょっと高いところにあって過ごしやすい首都とは一線を画す。湿っぽくて暑いのだ。




パナマは「中米の国」なんだけど、地元ではそう言わない事も。「中米5ヶ国+パナマ」とか。食い物はといえば、トルティーヤだって食うけど、むしろプラタノ&お米&芋文化圏。

◆◆◆


コロンブスに早めに「発見」されたせいで、早くからスペイン人の金銀漁りの被害に会い、グァテマラやサント・ドミンゴと同様、スペインの司法・行政組織の中心(アウディエンシア)が置かれたところ。一時グアテマラの傘下に入ったけどむしろ南米側と深い関係の歴史。


16世紀にインカを滅ぼした悪名高いピサロはこのパナマ経由で金銀をヨーロッパに持って帰ってたし。その後のパナマは「ペルー副王領」「ヌエバ・グラナダ」「大コロンビア」

の一部、つまり南米側となって、最終的には20世紀の始めにコロンビアから分離・独立。だからコロンビアと共通の風味も多い。パナマ風サンコーチョもあるし、パナマ風クンビアだってある。

◆◆◆



アメリカの影響も大きい。パナマ運河の権益をもって軍隊を置いてたし、民間人も多くいたし、音楽を含む文化にも影響がある。

そしてパナマ運河の建設は、大量の労働力の流入を呼んで、中国人、インド人、アラブ系、ジャマイカなどのカリブ系、欧州系などいろんな民族が社会を構成するように

なってそのコスモポリタン的性格を補強しているのだ。

そんなパナマはちょっとプエルトリコと似たところあり。気候もカリビアン。"バリールとクアトロ"(ボンバとヒバロ)に匹敵する"タンボールとメホラーナ"もあるしね。

◆◆◆


今回パナマは1週間。最初はとにかくお仕事・お仕事・・・。そんな仕事の中にもワナが。

マーケティング担当のイレーネとの打合せ。美女。日本人相手は初めてなので緊張感漂う。

「・・・で、今月のプロモーションですが、どんなイベントを?」

「この商品は"強く自立して、かつエレガントな女性"をターゲットに置いてます。それなりの年令だけどそれを感じさせない女性らしさと力強さの両立。だから

それに合ったキャラクターを起用しました。丁度来月コンサートありますし。」

「ん?誰ですか?トロピカル系じゃなさそうですし、フリエータやタリアも違いそう・・。あ、エドニータ(Ednita Nazario)?」


「!ご存知ですか!話が早いですわ。では相談したいんですが・・・・」

YouTubeでエドニータ・ナサリオのライブを見る

音楽への投資も仕事を助けてくれたりします。一挙に打合せは親密な展開に。

「・・・でね、こっちのイベントはお祭りムードを盛り上げるのに、バンドをね入れてムルガって感じで。あ、ムルガって言ってもわかんないわよね。」

「いえいえ、♪"Vamos a bailar la murga, La Murga de Panama"♪でしょ?

♪Esto es una cosa facil y muy buena pa'bailar~♪Eso Si !(それそれ)」

YouTubeでエクトル・ラボーの"La Murga""を聴く


ね、サルサってこういうアフロ・キューバン起源とは全然違うノリのラテンのリズムを持ってきている。ウイリー・コローンの冒頭の重たいブラスもまさにパナマの「ムルガ」(ブラスを中心にしたバンド)をイメージしてる。

YouTubeでパナマの祭りでMurgaの演奏をバックで踊るの見る

そんなこんなで夜はパナマならではのショーを見に行くことに。定番のLas Tinajasへ。
◆◆◆



パナマを代表する太鼓をベースにした音楽&ダンスが"タンボリート" (Tamborito)。

YouTubeでLas Tinajasのショーを見る。タンボリートをアコーデオン入りで楽しませてくれてます。いわゆるMusica Tipicaってやつですね。

このタンボリートは足に挟む形の太鼓(タンボール)を2つ又は3つと小太鼓のような、肩からつるして叩く太鼓(カハ/Caja)の伴奏に合わせ、男女が踊るダンス/音楽。






タンボールはベースを刻むレピカドール(Repicador)とアクセントをつける高めの音のプハドール/プホ(Pujador/Pujo)に分けられる。その中間のものも時に使われたりす

る。

この構成はコロンビアのクンビアとかクルラオとかを連想させますね。クンビアだとタンボールはジャマドールとアレグレ、クルラオだとクヌーノ・マチョとエンブラとか呼ばれたりするけど同じ文化圏と言えるかも。でもリズムのニュアンスが違うのがおもしろいのです。「カリブの音」は色んなバリエーションがありますね。

ダンスの方も型があります。男性は麦わら帽に白の上下、または白の上と黒の下。そう、これもコロンビアのクンビアマパレやらを連想させますね。


女性はポジェーラ(Pollera)と呼ばれるゆったりしたスカートとブラウス。このポジェーラもコロンビアにもありますが、これまたちょっと違う。
パナマのハレの場のポジェーラはPollera de laborと言われる刺繍やレース仕事のしっかり付いたのが特徴。これが踊りの場で大きく広げられるととても美しい。

ダンスの型は男性が女性を誘うよう、アピールするような動きに対して、女性が優雅にそれをかわしながら、着かず離れずで踊る。
これはボンバにもルンバにもクンビアにもクルラオにも共通にありますね。そのやりとりのパターンや気持ちの表し方が各々のダンスで違うのが楽しみどころ。


このタンボリートの伝統は主にパナマの中央から西の農業地帯や山間部にしっかり受け継がれています。カリブ側のコロンなどの町にもあり。そちらにはコンガというもう少し黒人色の強い音楽&ダンスもあり。

でもこのタンボリート、ショーでやってるから「民族芸能」みたいに思うかもしれないけど、庶民には小さい頃から日常にあるんだって。
確かにYouTubeでは中学校で盛り上がってたり、街中のかわいい女の子が堂々たる歌を聞かせてくれてる(歌は女性の役目)

YouTubeでパナマ/ペドロ・パブロ・サンチェス中学のタンボリートを見る。元気だわ。将来が楽しみ。

YouTubeでパナマ/カレンちゃんのタンボリートを見る。上手いよ。。


中央・西部地区にはプエルトリコのヒバロやキューバのプントに匹敵するようなグリートやサロマスがあります。そして楽器はクアトロやラウーではなく、メホラーナやソカボン

YouTubeでメホラーナが伴奏するデシマ(即興の10行詩)を聴く

メロディーの特徴はプエルトリコのヒバロとは違うけど、同じスペインの農民の伝統から来てます。

ということで、Tinajasのショーはこんな多様なパナマの伝統を一挙に楽しく見せてくれました。

◆◆◆


「やっぱ、パナマにはリズムと華があるよねー」

「だからサルサからレゲトンまでパナマにはリズムがあるのよ」


サルサならルベン・ブラデスカミロ・アスキータか。ルベンは言わずとしれたウイリー・コロンとのコンビで名盤「シエンブラ」

を生み、アスキ-タはコルティーホとの活動が浮かびます。パポ・ルカとのアルバムとかもあるし、さすがに2人共プエルトリコと縁が深い。

YouTubeでルベン・ブラデスの"Pedro Navaja"を聴く
YouTubeでカミーロ・アスキータのを聴く

レゲトンもありますね。


プエルトリコの90年代の初期のレゲトンは、シャバ・ランクスなどラガの「デンボウ/Dembow」の強い影響を受けてますが、それはパナマのスパニッシュ・レゲエ、スパニッシュ・ラップのエル・ヘネラル(El General)を抜きにして語れない。

YouTubeでエル・ヘネラルの"Muevelo"を聴く

最近のレゲトンならEl Roockie
プエルトリコのDe la Ghettoとの共作、"Martes de Galeria"を思い出す。

YouTubeでエル・ルーキーの"Martes de Galeria"を聴く
ね、いい感じでしょ。


「じゃ、踊りにでもいきませんか?」

大変すばらしい展開。
明日のマイアミ便までには宿に戻れるのか?

by mofongo | 2008-08-03 23:06 | Viaje/漫遊記 | Trackback | Comments(4)
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Commented by SUNAO at 2008-08-08 14:30 x
まるでスペイン語講座テキストのようでさらに奥深いですね~
すごーい。
なんでこんな文作れるんですか。

アスキータ×パポ持ってます。
パポだから買ったんですが、
C氏には「んー、アスキータは僕はあんまり…」と言われてしまいました。
がーん。
ていうかまだあんまり聴いてないんですが。
そうか、コロンビアなんだ。
もう一度聴き直してみよっと。
Commented by mofongo at 2008-08-09 12:47
アスキータは79年以来欧州(パリ)をベースにしてたけど(3人目の奥さんはフランス人)90年代中盤、プエルトリコに割りと長く滞在したりしてました。けっこうフィエスタ・パトロナレスでも見たなあ。

アスキータ x パポはその時期に録音されたものですね。出たとき買いました。(^^)

パリではスークやらカライブ/アンティーユの音楽(仏領系Musica cariben~a/Antillana)との仕事も多かったとか。

アスキータはパナマのコロン(カリブ側)の生まれだし、パナマのオルケスタでの活動もあるから「コロンビア」風味もあるだろうと同時に、フレンチ・カリビアンの色もあるだろうなあ。

その分、カスティジャーノ系の田舎的哀愁が薄い点、ボリクアには物足りないかもね。でも、それはそれ。そんなアスキータとパポの個性をぶつかり合い楽しめたら正解じゃないでしょうか♪♪
Commented by SUNAO at 2008-08-09 19:24 x
Σ(〃▽〃)
コパのハビエルと同郷なんだ~
と思った覚えがあるのに
なんで私コロンビアだなんて書いてんのっっ
ひゃー恥ずかしい、真っ昼間から寝ぼけてたみたいで失礼しました…

アスキータ、ズークもやってたんですか!
もちょっと関連いろいろ探してみよっと
ありがとうございます~
Commented by mofongo at 2008-08-11 13:26
いやいや、コロンとコロンビアのコスタ・カリベーニャはほんの目と鼻の先だし、コロンのコンゴとかはバランキージャのマパレとすんごい共通性あるし、全然おかしくないですよ!

アスキータは直接ズークやったかどうかわかんないのですが、彼がサルサで参加したフランスのカリビアン・フェスティバルなんかでは、ズークとかとステージを共にしたとか。そういえば、昔ユーロ・ディズニーに行ったとき、プエルトリカン・オール・スターズとロス・バン・バンとズーク(確かカッサブ)の大型コンサートがありました。

カリブにはカリンダーという音楽と言うかリズムとダンスがあるんですよ。フレンチ・カリビアンではよく名前が出ますがトリニダードからハイチまで(多分キューバにも)そしてコロンビアやベネズエラの海岸地域にも。プエルトリコにもボンバの一つのリズムとしてあります。18世紀、ハイチ革命の時ハイチから各地に移住した人たちが広めた音が、カリブの一つの共通の音そしてベースとなっている、というお話なのです。

そんなこと考えると、それから300年くらい経って、ユーロディズニーでその子孫が出会ってるような気がして、ちょっと楽しかったです。
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