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2008年 08月 11日
アンティオキア民族舞踊団来日
コロンビア独立記念祭以来、ちょっと気分がコロンビアづいた感じ。

Colombiaはホント、色んなリズムな音楽がひしめいていて魅力的。
ボゴタの野外で聴いたクンビアのタンボールの音やバジェナートの泣ける歌とアコーデオンの音色、クラブで楽しんだサルサ・・・また久しぶりにコロンビアに飛びたいもの。

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とか思っていると、今月20日にコロンビアから「アンティオキア民族舞踊団/Ballet Folklorico De Antioquia"」が来るのだと。

これはいいタイミング。彼らはメディジンに本拠を置く50年以上の歴史のあるダンス・カンパニー。
アンティオキアってコロンビアの中央・西寄りの県でメデジンはその県庁所在地でコロンビア第二の都市。

この歴史ある舞踊団はアンティオキアに限らず、当然コロンビアの多種多様なダンスをレパートリーにしてるし、音楽、衣装なんかもいっぺんに楽しめる。

って友達に言ったら、

「でも、コロンビアの音楽とかダンスって?サルサ?あ、クンビア?それにバジェナートの名前くらいしか知らない。」

と言われました。たしかにコロンビア音楽/ダンスの解説本なんて日本じゃ見たことない。ラテン音楽本やラティーナの記事には時々出てるんですけどね。

と言うことで、友人から手がかりを書け!と指令が下ったのさらっとまとめてみます。

◆◆◆

コロンビアの音楽は雑に言って4つくらいにまとめられます。

1. カリブ海側の海岸地方の音楽(Musica cariben~a)
2. 太平洋側の海岸地方の音楽(musica pasifica)
3. アンデス地方の音楽(Musica Andina)
4. ジャノス/Llanos(東の丘陵地帯)の音楽(Musica llanera)


1.カリブ海側の海岸地方の音楽:
こいつはカリブの島々の音楽と共通点も多いけど、自分の好きなコロンビア独特の「香り」がぷんぷん漂う泣けちゃうのが多い。
海岸地方と言っても、マグダレーナ川流域の内陸の丘陵地帯なんかも含む。

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黒人系とスペイン系そしてインディオ系のミックスが基本になることの多いコロンビアの音楽だけど、このカリブ側/Region Caribeの音楽にはアフリカの太鼓/タンボールのビートが強い要素となっている。そしてインディヘナのメロディーが入り込む。音楽の名前としては、クンビア、バジェナート、マパレ、ポーロ(プーヤ、ガイタ)、ソロマ、マーリャ、ブジェレンゲ、メレクンベ、などなど。



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男性は白のエリなしにシャツに白いボトム。ヤシの葉で編んだ帽子(ソンブレロ・ブエルティアオ/Vueltiao、またはコンチャ・デ・ホボ/Concha de jobo)、赤い布を首周りに巻いて、小さな袋を斜めに掛ける。女性はブラウスにゆったりしたスカートで髪飾り。

見た目にこんな衣装が出てきたら、「あ、コスタ・カリベ(カリブ海側)か?」と思ってもらえば良いと思います。

この地方のダンスは大きく分けて6種類あると言われています。

・カビルダンテス(Cabildantes):お祭りの踊りでアフリカの強い伝統を残しています。
・パハロス(Pajaros):バランキータの町のバリオ・サン・パチョ(Barrio San Pacho)から出た踊りだと言われています。伝統的な小編成の伴奏(タンボール・マチョ、アコーデオン、グアチャラカ、カーニャ・デ・ミージョ)をバックに踊ります。
・コラレハス(Corralejas):コルドバ県、特にスクレとモンテリアが有名。この地方のお祭りで踊られます。
・コヨンゴス(Coyongos):
・ガラバート(garabato):
・ゴレーロス(Goleros):

音楽はというと、

【クンビア】

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音の方は、2つ、又は3つの太鼓(タンボール)を一人一つずつひざに挟んで叩くのと、肩から提げた、小太鼓風の表面太鼓(ボンボ)をスティックでたたくのとがベース。
これに筒型のシェイカー(グアチャ、グアチョ)と、長い2本の笛(ガイタ・マチョとガイタ・エンブラ。マチョは2穴、エンブラは5穴)、横笛(カーニャでミージョ)も多分参加。これがクンビアの基本形、クラシック。でもこの基本形でポロやマパレすらやることがあるので、その辺は耳を澄ましてみましょう。
クラシックなクンビアは歌なし。踊りと演奏のみです。

YouTubeでクンビアの一例を見る

クンビアには、当然今風のスタイルもありアコーデオンやコンガやティンバレスやキーボードやベースが参加するものもあり。

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【バジェナート】バジェナートといえば北部セサール県、マグダレーナ県、ラ・グァヒーラ県。セサール県のValleduparから名前が来ている。マグダレナ側流域のこの丘陵地帯の独特の明るさと哀愁を含んだメロディーがたまらない。

バジェナートはリズムを指すのではなく、この音楽そのものをさす。リズムとしては"ソン/El Son"(キューバのソンとは無関係。一番ゆったりしたテンポ)、"パセオ"/El Paseo"(ゆっくりしたテンポ)、メレンゲ/El Merengue" (ドミニカのメレンゲとは無関係。やや早いテンポ)、"プヤ/La Puya" (かなり速いテンポ)。

ダンスは決まった形式はなく、中心は歌とアコーデオン。もともと「歌う新聞」的なキャラクターを持って(プレーナみたい)、辻楽士が町から町へと旅をしながら事件やゴシップ、日常のあれこれお歌いこんだ歌を歌ったような伝統ももってます。

楽器はもちろんボタン式アコーデオン!そして太鼓(Caja Vallenata)、グアチャラカ(こすって音を出す木製のグイロのようなもの)

バジェナートで聴くべき人はたくさんいるけど、とりあえず2人

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アレホ・ドゥラン(Alejo (Alejandro) Duran)
→YouYubeでアレホ・ドゥランの"Fidelina"を聴く。カルロス・ビベスもやってましたね。泣けるわ



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カルロス・ビベス (Carlos Vives)
→YouYubeでカルトス・ビベスの"Gota de Fria"を聴く。









2.太平洋側の海岸地方の音楽:こちらも黒人系の影響が強い。

ひとつ前のブログのページでちょっと書いたのでそちらを参照ください。(手抜きか?)




3. アンデス系の音楽


アンデス系と言っても、クンディナマルカ県(首都のボゴタのあるところ)やボヤカ県から南のナリーニョ県までずいぶん広い。

俗にいうインティオ系の音楽には笛がおなじみだけど、その笛一つにしても、クンディナマルカ県やボヤカ県ではフラウタ・デ・パンとかカパドーレス、カウカ県やウイーラ県ではクビスカチュペンド。横笛のピトカチョ・デ・トーロ、クエルノ、ピンキーリョ。ナリーニョ県やカウカ県のケーナなどなどと多様な名前とバリエーション。

コロンビアの音楽の3つの要素、スペイン、インディヘナ、アフリカのうち、ヨーロッパとインティヘナの要素が強いのがバンブーコとかパシージョ。
インディヘナがより強いサンファネーロなどなど。

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この系統の音楽にはあまり詳しくなく、聴いたCDやLPも20枚程度しかないのだけれどむちゃくちゃ奥が深いです。

バンブーコに使われる楽器はティプレ、バンドーラ、ギター、クチャーラス(スプーン)
サンファネーロに使われる楽器はティプレ・サンファネーロ、プエルカ(摩擦系打楽器)、チューチョ(円筒形のシェイカー)、エステリージャ(パン・フルート系)、フラウタ・デ・ケーコ(横笛)、タンボール・チンボリオ(四角い肩掛け型両面太鼓)、グァチェ(ガラガラのようなパーカッション)

トルベリーノ=グァビーナに使われる楽器は、ティプレ、レキント、エステリージャ、ピト(横笛)、キリビーリョ(ガラガラ系)、カラカ(馬の下あご。キューバのキハーノと同じ)、コンチャ・デ・グーレ(アルマジロの皮)、サンブンビア(摩擦系打楽器)などなど。

4. ジャノス/Llanos(東の丘陵地帯)の音楽

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ベネズエラの西部から大きく広がっている丘陵地帯は広大でアラウカ川などオリノコ側にまでつながるような長い川が流れる。
ここにはベネズエラと土台が共通のホローポなど。














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男性の帽子も椰子の葉を編ん黒っぽい模様の入ったものではなく、プレーンでカーボーイのテンガロン・ハット系のものをかぶっていたら、「お、これはジャネーロの音楽」と思ってもらえばいいかと思います。

音楽も太鼓ガ前面に出ていなくて、弦楽器やらハープの音がしたら、それはホローポの可能性高し。








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ホローポの楽器は"ピン・ポン"と呼ばれる胴が大きくて4弦のバンドゥーラクアトロ、バンドリン(復弦4コース)、フルーコ(太鼓。サンブンビアの大きなもの)、カラーカ(馬の下あご)などが伝統的。そしてそれにアルパ(ハープ。ベネズエラより。34/38弦))、カパーチョス(マラカス)などが加わる。


5. サルサ

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サルサは元々コロンビアの地元の音楽ではないけれど、コロンビア第三の町、カリという「サルサの中心」をもつのもコロンビアの一つの大きなポイント。

ひとつ前のブログのページでちょっと書いたのでそちらを参照ください。(また手抜きか?)



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カリは「パラシオ・デ・ラ・サルサ/サルサの王宮」と言われるほど、70-年代以降、強力にサルサ・ファンが発生し、オルケスタも輩出しました。
グルーポ・ニーチェもそうですね。

ニーチェはプエルトリコと共通するサボールをもったオルケスタで、特に故ティト・ゴメスとか最近のオスバルド・ロマンなどの歌が入ると顕著。

しかし、リズムの乗り全体にときになんともいない「コロンビアのノリと香り」が入るときがあります。これは、プエルトリコでは醸成できないもの。それはきっと踊りにも反映するのでしょうね。

◆◆◆


ちょっと音楽の話が長くなってしまいました。

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アンティオキア民族舞踊団のステージは、伝統的なモチーフを元にした、「ダンス/舞踊としての表現」なので、地元のCalleで踊られるダンスよりは洗練されているでしょう。一方でエンタテイメント的な面、芸術的な面で観客を楽しませる趣向が一杯凝らされているのも間違いありません。

上に書いた通りコロンビアには欧州(スペイン)、インディヘナ、アフリカの各要素があり、時代や地方によってその混じり方が異なり、また混じる中からまた新たなものが生まれています。

ラテン・アメリカの音楽や踊りが好きな人は、この欧州、インディヘナ、アフリカの3要素の混合に、アメリカでの欧州、アフリカ、カリブの混合の結果であるジャズやR&Bやロックがさらに混じりあったりなかったりする2次混合(?)を楽しんでしまうDNAだかなにかがあるのだと思います。

そんな混合の一つ、それもとても魅力的な混合のコロンビアの踊りと音楽を楽しみたいと思います。
興味をもたれた方は是非!8/20(水)です。→こちらのサイトに詳しい案内があります
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by mofongo | 2008-08-11 03:46 | Musica
2008年 08月 07日
コロンビア独立記念祭@日比谷 08.7
パナマの音を思い出してたら、コロンビアの音が頭に飛び交う。

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シンクロニシティーなのか、ネットで「コロンビア独立記念祭」というのを見つけた。早速行って見る。

場所は日比谷野音。昼過ぎの暑い日ざしの中、音楽が聴こえてくる。矢印代わりに日本と三色のコロンビア旗が。おお、人があつまってる。ソンブレロに白の上下で決めた兄ちゃんもいるじゃない。Que viva Colombia!

サルサ好きな人がよく知っている、コロンビア風味!独特で大変素晴らしい。ボゴタにはプエルトリコのFM局、Z93と同系列の局があってラボーからフランキー、エディー・サンティアゴ、ダビ・パボンとかがんがんかかる。カリにはグルーポ・ニーチェ、グアジャカン、カルタヘナにはジョエ・アロージョ、そして若いところでは8月来日のボゴタのLa-33とかの名前が上がりますね。

ロック、ポップスならフアネスシャキーラと軽く名前があがるし、バジェナートならカルロス・ビベス。コロンビアの魅力はラテン音楽では身近ですね。

◆◆◆

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さてステージでは丁度クンビアに合わせてポジェーラ(Pollera)を身に付けた淑女たちと白の上下の紳士たちのダンスが始まっていた。オレンジと白の衣装に花の髪飾りが美しい。静岡からやってきたグループだとか。






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子供たちもかわいいね。前のチビどももいいが、ちょっと後ろのインディオ系衣装のニーニャたちもかわいかった。さすが、美女輩出のコロンビア。








お!次のステージが始まる前のつなぎに流れた最初の曲は、クンビアの大定番"ポジェーラ・コロラ"(Pollera Colora)

YouTubeで"Pollera Colora"を聴く

バランキージャの作曲家Wilson Choperenaの作品だけど、いろんな人が演ってる。サルサならジョエ・アロージョ、グアジャカン、ソン・デ・アスーカル、バジェナートならビノニオ・デ・オロ、ポップス系ならチャーリー・サーとどんどん浮かぶ。もちろん、地元の伝統的なクンビアのダンスでも定番だ。

YouTubeでGuayacanの"Pollera Colora"を見る

YouTubeでCharlie Zaaの"Pollera Colora"を見る

Ajai! al son de los tambores
Esa negra se amaña
Y al sonar de la caña
Va brindando sus amores
Es la negra Soledad
La que goza mi Cumbia
Esa negra Saramulla, oye caramba
Con la pollera colorá

いいですねー。

そして、会場ではすかさず踊りに立ち上がるコロンビア勢(特に女性)。反応が大変素晴らしい。

このリズムとガイタ(笛)の音を聴くと、ホント一挙にコロンビアムードだよ。クアトロやパンデレータを聴いて"プエルトリコ"と思うのと同じ。
やっぱこの曲の強さだよなあ。クンビアを1曲覚えたい人はまずこれを。

◆◆◆

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さて次にステージに登場したのはなんと、翌週から来日ステージのあるグルーポ・バイア (Grupo Bahia)!出るなんて情報はなかったよ、なんとお得。
彼らはカリをベースに、コロンビアの西部・太平洋岸の音楽を聞かせてくれるグループ。こういうイベントでもない限り日本でナマで聴けることなんかないからうれしいね。



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1992年に結成。クルラオ (currulao)、ポロ・チョコアーノ (Porro Chocoano)、 ブンデ (Bunde)、 フーガ(Juga)、アンダレレス (Andareles)などの地方の伝統を背景に彼らの音を聴かせてくれる。

1998年初CD”Con el corazón cerca de las raíces”を発表、2001年は二枚目"Cantaré "を。最新作は2005年の"Pura Chonta" 。これがまた気持ちいい音。



ちょっとコロンビアの音を簡単におさらいしましょう。

コロンビアの音楽は、雑に言って4つの地域に分けられます。

1.まず国の北部・北西部のカリブ地域。これにはクンビアやバジェナート、マパレやブジェレンゲ、ファンダンゴなどなど。

2.そして西部の太平洋側地域。ここにはクルラオなどが含まれる。

3.それから首都ボゴタを含む、国土の真ん中西よりを南北に貫くアンデス山脈の地域。ここにはパシージョやバンブーコなどが含まれる。

4.そして国土の東側に広大に広がる丘陵・密林地帯。これにはホローポなどが入る。

海岸寄りの音にはアフリカより奴隷としてつれてこられた黒人系の人々の伝統が色濃く反映しています。
だから太鼓(タンボール)の強いリズムがある。それが、スペインの何かしらの伝統や系等と混ざり、そしてカリブ諸島と大きく違うのは、先住のインディオ系の影響も混じる点。

この度合いや地域差の中にコロンビアの音楽の魅力がたっぷり含まれているのです。そして踊りと音楽は一体。

◆◆◆


さて、マリンバの静かなイントロから入った演奏は、徐々に熱気を帯びる。リズムは基本的にクルラオ/Currulao

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クルラオって名前は太鼓の名前クヌーノ (Cununo)から来ていてCununaoと記される事もある。コロンビアの太平洋岸のダンス/音楽を代表するものです。

太平洋側というのは県で言えばチョコ(Choco)、バジェ・デ・カウカ(Valle del Cauca。カリ(Cali)が県庁所在地)、カウカ(Cauca)、ナリーニョ(Narin~o)などを含む。



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楽器はマリンバ (Marimba de Chonta)、クヌーノ(Cununo)という太鼓。大きい方がマチョ(Cununo Macho)、小さい方がエンブラ(Cununo Hembra)と呼ばれ、小さい方がアクセントをつける。

またもう一つの太鼓が肩からつるして両面を叩く、ボンボ(Bombo。Tamboraと呼ばれることも)。そして平たいハンド・ドラムのレドブランテ(Redoblante)、そしてシェイカーのようなグァサ (Guasa)。

リズムは基本的に8分の6拍子(ハチロク)でボンボが基本パターンで引っ張る。片面で付点四分音符をで二拍子系を、もう片面でたとえばタンタッタタとか三拍子系を叩いたりします。

アフリカより奴隷として拉致された黒人系の伝統が色濃く反映するリズム。歌詞もその地の自然や愛を歌う。

クルラオの他にも、この太平洋岸(Costa Pacifica/Litral Pacifico)はパンゴ(Pango)、アンダレレ(Andarele)、 マドゥルガ(Madruga)、ティグアランド(Tiguarando)、サポロンド(Saporrondo)、カリプソ・チョコアーノ(Calipso chocoano)、タンボリート・チョコアーノ(Tamborito chocoano)、フガ(Juga)また宗教系のチングアロ(Chigualo)、アラバオ(Alabao)、サルベ (Salve)、アルージョ(Arrullo)などかなり多様だ。ほとんど知られてないけど。

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リーダーのウーゴ・カンデラリオがときにソプラノ・サックスに持ち替えるとその音色はとてもガイタ的、そしてリズムはクンビア的に聞こえてくる。

ボンボがしっかりビートを叩き出しリズムに力を与える。クヌノ・マチョはアクセントを叩き出してスピード感を増すが、やはりリズムの主役はボンボ。
その上にマリンバが太鼓の8分の6に対して4分の2のフレーズをつむぎ聴き手の腰に刺激を与えてくるのだ。

ほんとは踊ってみたかったなあ。会場にはこのグルーポ・バイーアを日本で共演するマリンバ奏者三村奈々恵さんも来てました。彼女もリズムに体を乗せて楽しそう。

YouTubeでグルーポ・バイアを見る

◆◆◆

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さて、その後はリツモ・デ・カリ。コロンビア・スタイルのサルサ・ダンスを得意とするスクールのチームですね。そしてカリから来たチビッコ。いやーまさにカリ・スタイルのダンス。

YouTubeでカリからきたキッズたちのダンスを見る

カリ・スタイルのサルサ・ダンスのパフォーマンス見たことのある人はあの腰から下の回転のスピードや細かいステップに強く印象付けられているでしょう。
掛かってる音楽の倍の速度で感じているようなスタイル。

YouTubeでカリのクラブのダンスを見る


なんで、あのスタイルなの?というのにはカリのサルサの歴史にもどらないといけません。。

1930年代以降、レコードというメディアの発展は色々な音楽が広がるのに大きな力となりました。50年代のクンビアの流行もその影響と言えます。60年代にはメキシコでCarmen Rivero楽団の"Pollera Colora"が大ヒットしたり。

YouTubeでCarmen RiveroのPollera Coloraを見る

もちろん、コロンビア発の音楽が外に出て行く前にまず、外からの音楽がやってくることからレコードの影響が始まりました。

カリブ側のバランキージャやカルタヘーナ、太平洋側のブエナベントゥーラと言った港はアメリカから最新の流行りの音楽のレコードが入ってくるゲートでした。
ブエナベントゥーラはカリの最寄の港ですね。

中でも船員はレコードのコレクションとNYなりの最新のファッションとダンス・ステップをも持ち込む宝箱だったのです。

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そんな港町には、そんな音に刺激を受けたオルケスタがマンボなどを演奏するダンス・ホールも出来ましたが、内陸のメディジンやカリ、と言った町にはレコードで伝わるしかありません。
レコードを週末のパーティーでかけられたり、またそのコレクターが始めた店が流行りの音楽を広めました。

30-40年代はご多聞に漏れず、チャポティーンなどキューバ音楽やエルナンデスやメキシコのボレーロ、その後のマンボ、といった風でしたが、50年代後半強力な人気を誇っていたのはソノーラ・マタンセーラとコルティーホだったのです。

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そして、カリではサルサダンスを「レコードに併せて楽しむ」というのが当たり前のベースとなりました。そして、誰が始めたのか良くわかりませんが、その33回転のLPを45回転の高速でかけて楽しみ踊る、という楽しみ方が生まれたのでした。






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「・・・1960年代から70年代にかけ、カリではユニークなダンス・スタイルが作られました。つま先で"倍のテンポ"でリズムを取るような速い動きが特徴でした。このスタイルは当時コロンビアでは”El Paso Calen~o (the Cali Step)"として知られていました。それまでラテン・アメリカで踊られていた"Short-Short-Long"/Quick-quick-slow"のスタイルとは異なり、ハイ・キックとすばやい足の動きがカリのサルサの特徴となったのです。




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・・・・・速いテンポのパチャンガはカリのダンサーのお気に入りでした。しかしその頃流行ったブガルー(例えばピート・ロドリゲスの66年のヒット"Micaela")などは彼らにとって遅すぎでした。そこで彼らは33回転のLPをシングル用の45回転でかけたりしたのです。これでもオリジナルが二分音符=65が85になるくらいで大して速くないですが、エディー・パルミエリのブガルー"Palo de Mango"などはオリジナルの二分音符=160を220まで上げて踊るのですから相当速い足の動きになります・・・」

("Memory and Movement in the Record-Centered Dance Scene"-Cali/Lise A. Waxer 2002より)

それ以来カリには非常に早いパッセージでのサルサ・ダンスというのはお約束のスタイルの一つとなっているのです。

YouTubeでカリのサルサ・ダンスを見る。

◆◆◆

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ステージが終わった少年少女に「どうやったらあんなに早く踊れるの?」って聞いたら「練習だよ」って当たり前のこと言われた。そうかあー、そうだよなー。
(右はコロンビア大使とカメラに収まるダンサー君たち)






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そして最後のステージはオルケスタ・コンキスタンド。いいですねー。ビールでよっぱらってる頭がまわる・・。

ということで、コロンビアをたっぷり楽しんだ日でした。
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by mofongo | 2008-08-07 22:20 | Musica
2008年 08月 03日
パナマ 08.6-7
パナマはとても面白い。

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空港から街に向かうと、いつもの通り高層ビル街が見えてくる。やっぱ他の中米の国々とキャラが違うわ、ここは。

首都のパナマ・シティーはメキシコ・シティー、グアテマラ・シティー、テグシガルパ、サン・サルバドル、サン・ホセといったちょっと高いところにあって過ごしやすい首都とは一線を画す。湿っぽくて暑いのだ。



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パナマは「中米の国」なんだけど、地元ではそう言わない事も。「中米5ヶ国+パナマ」とか。食い物はといえば、トルティーヤだって食うけど、むしろプラタノ&お米&芋文化圏。

◆◆◆


コロンブスに早めに「発見」されたせいで、早くからスペイン人の金銀漁りの被害に会い、グァテマラやサント・ドミンゴと同様、スペインの司法・行政組織の中心(アウディエンシア)が置かれたところ。一時グアテマラの傘下に入ったけどむしろ南米側と深い関係の歴史。

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16世紀にインカを滅ぼした悪名高いピサロはこのパナマ経由で金銀をヨーロッパに持って帰ってたし。その後のパナマは「ペルー副王領」「ヌエバ・グラナダ」「大コロンビア」

の一部、つまり南米側となって、最終的には20世紀の始めにコロンビアから分離・独立。だからコロンビアと共通の風味も多い。パナマ風サンコーチョもあるし、パナマ風クンビアだってある。

◆◆◆


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アメリカの影響も大きい。パナマ運河の権益をもって軍隊を置いてたし、民間人も多くいたし、音楽を含む文化にも影響がある。

そしてパナマ運河の建設は、大量の労働力の流入を呼んで、中国人、インド人、アラブ系、ジャマイカなどのカリブ系、欧州系などいろんな民族が社会を構成するように

なってそのコスモポリタン的性格を補強しているのだ。

そんなパナマはちょっとプエルトリコと似たところあり。気候もカリビアン。"バリールとクアトロ"(ボンバとヒバロ)に匹敵する"タンボールとメホラーナ"もあるしね。

◆◆◆


今回パナマは1週間。最初はとにかくお仕事・お仕事・・・。そんな仕事の中にもワナが。

マーケティング担当のイレーネとの打合せ。美女。日本人相手は初めてなので緊張感漂う。

「・・・で、今月のプロモーションですが、どんなイベントを?」

「この商品は"強く自立して、かつエレガントな女性"をターゲットに置いてます。それなりの年令だけどそれを感じさせない女性らしさと力強さの両立。だから

それに合ったキャラクターを起用しました。丁度来月コンサートありますし。」

「ん?誰ですか?トロピカル系じゃなさそうですし、フリエータやタリアも違いそう・・。あ、エドニータ(Ednita Nazario)?」

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「!ご存知ですか!話が早いですわ。では相談したいんですが・・・・」

YouTubeでエドニータ・ナサリオのライブを見る

音楽への投資も仕事を助けてくれたりします。一挙に打合せは親密な展開に。

「・・・でね、こっちのイベントはお祭りムードを盛り上げるのに、バンドをね入れてムルガって感じで。あ、ムルガって言ってもわかんないわよね。」

「いえいえ、♪"Vamos a bailar la murga, La Murga de Panama"♪でしょ?

♪Esto es una cosa facil y muy buena pa'bailar~♪Eso Si !(それそれ)」

YouTubeでエクトル・ラボーの"La Murga""を聴く

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ね、サルサってこういうアフロ・キューバン起源とは全然違うノリのラテンのリズムを持ってきている。ウイリー・コローンの冒頭の重たいブラスもまさにパナマの「ムルガ」(ブラスを中心にしたバンド)をイメージしてる。

YouTubeでパナマの祭りでMurgaの演奏をバックで踊るの見る

そんなこんなで夜はパナマならではのショーを見に行くことに。定番のLas Tinajasへ。
◆◆◆


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パナマを代表する太鼓をベースにした音楽&ダンスが"タンボリート" (Tamborito)。

YouTubeでLas Tinajasのショーを見る。タンボリートをアコーデオン入りで楽しませてくれてます。いわゆるMusica Tipicaってやつですね。

このタンボリートは足に挟む形の太鼓(タンボール)を2つ又は3つと小太鼓のような、肩からつるして叩く太鼓(カハ/Caja)の伴奏に合わせ、男女が踊るダンス/音楽。





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タンボールはベースを刻むレピカドール(Repicador)とアクセントをつける高めの音のプハドール/プホ(Pujador/Pujo)に分けられる。その中間のものも時に使われたりす

る。

この構成はコロンビアのクンビアとかクルラオとかを連想させますね。クンビアだとタンボールはジャマドールとアレグレ、クルラオだとクヌーノ・マチョとエンブラとか呼ばれたりするけど同じ文化圏と言えるかも。でもリズムのニュアンスが違うのがおもしろいのです。「カリブの音」は色んなバリエーションがありますね。

ダンスの方も型があります。男性は麦わら帽に白の上下、または白の上と黒の下。そう、これもコロンビアのクンビアマパレやらを連想させますね。

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女性はポジェーラ(Pollera)と呼ばれるゆったりしたスカートとブラウス。このポジェーラもコロンビアにもありますが、これまたちょっと違う。
パナマのハレの場のポジェーラはPollera de laborと言われる刺繍やレース仕事のしっかり付いたのが特徴。これが踊りの場で大きく広げられるととても美しい。

ダンスの型は男性が女性を誘うよう、アピールするような動きに対して、女性が優雅にそれをかわしながら、着かず離れずで踊る。
これはボンバにもルンバにもクンビアにもクルラオにも共通にありますね。そのやりとりのパターンや気持ちの表し方が各々のダンスで違うのが楽しみどころ。


このタンボリートの伝統は主にパナマの中央から西の農業地帯や山間部にしっかり受け継がれています。カリブ側のコロンなどの町にもあり。そちらにはコンガというもう少し黒人色の強い音楽&ダンスもあり。

でもこのタンボリート、ショーでやってるから「民族芸能」みたいに思うかもしれないけど、庶民には小さい頃から日常にあるんだって。
確かにYouTubeでは中学校で盛り上がってたり、街中のかわいい女の子が堂々たる歌を聞かせてくれてる(歌は女性の役目)

YouTubeでパナマ/ペドロ・パブロ・サンチェス中学のタンボリートを見る。元気だわ。将来が楽しみ。

YouTubeでパナマ/カレンちゃんのタンボリートを見る。上手いよ。。

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中央・西部地区にはプエルトリコのヒバロやキューバのプントに匹敵するようなグリートやサロマスがあります。そして楽器はクアトロやラウーではなく、メホラーナやソカボン

YouTubeでメホラーナが伴奏するデシマ(即興の10行詩)を聴く

メロディーの特徴はプエルトリコのヒバロとは違うけど、同じスペインの農民の伝統から来てます。

ということで、Tinajasのショーはこんな多様なパナマの伝統を一挙に楽しく見せてくれました。

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「やっぱ、パナマにはリズムと華があるよねー」

「だからサルサからレゲトンまでパナマにはリズムがあるのよ」

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サルサならルベン・ブラデスカミロ・アスキータか。ルベンは言わずとしれたウイリー・コロンとのコンビで名盤「シエンブラ」

を生み、アスキ-タはコルティーホとの活動が浮かびます。パポ・ルカとのアルバムとかもあるし、さすがに2人共プエルトリコと縁が深い。

YouTubeでルベン・ブラデスの"Pedro Navaja"を聴く
YouTubeでカミーロ・アスキータのを聴く

レゲトンもありますね。

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プエルトリコの90年代の初期のレゲトンは、シャバ・ランクスなどラガの「デンボウ/Dembow」の強い影響を受けてますが、それはパナマのスパニッシュ・レゲエ、スパニッシュ・ラップのエル・ヘネラル(El General)を抜きにして語れない。

YouTubeでエル・ヘネラルの"Muevelo"を聴く

最近のレゲトンならEl Roockie
プエルトリコのDe la Ghettoとの共作、"Martes de Galeria"を思い出す。

YouTubeでエル・ルーキーの"Martes de Galeria"を聴く
ね、いい感じでしょ。


「じゃ、踊りにでもいきませんか?」

大変すばらしい展開。
明日のマイアミ便までには宿に戻れるのか?
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by mofongo | 2008-08-03 23:06 | Viaje/漫遊記