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2010年 05月 26日
ロス・ボラチョス@江古田BUDDY 10.5.23
久しぶりのボラチョス

いまさらこのオルケスタをどうのこうの言うのも野暮ですが、今回はちょっとメンバー・チェンジありで、そのあたりは如何に、という楽しみ2割、残り8割はお約束の芸風を。日曜の夜、翌週からのお仕事の為にエナジーをもらいに。

江古田BUDDYの長期定番企画SALSAMANIAの今回の対バン、1番手はセシオン・マンボ(Session Mambo)
数年前から時々ライブ情報で名前は知るも今夜が初めて。

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コンガの有馬勲さんがリーダー。有馬さんはチャーリー宮毛&ラテンスインガーズやサイタミーゴスでのティンバレスをお見かけしたり。

今回はヴォーカルがゲストとのことなので普段はインストがメインのバンドなのですね、きっと。

メンバーは山田メイさん(p)(多分コンボ・クレアシオンでやってる方ではないだろうか)、増田桂子さん(A.Sax)、浅利未央子さん(tp)(お2人はラス・チカス・リンディシマス/Las Chicas Lindisimasで一度聴いてます)、森田耕太夫さん(tb)、宮川国夫さん(b)、佐竹尚史さん(ds)は初めて。そしてゲストに大門陽子さん(tb)、塚田直江さん(vo)、unknownさん (g)。

レイ・バレットからスタート、ティト・プエンテの"ランカンカン"などラテン側と"コールド・スエット"などソウル/ファンク側のチューンにバチャータなども交え、"西武警察のテーマ"とかのお楽しみもあり、なつかしー。

一曲目でラテン・ジャズ系かな?と思ったが、むしろ感覚的にスムーズなのはソウル/ファンク。ソロもジャズのもつ"ひねった性格(?)"は薄い。浅利さんのASはサンボーン的アーティキュレーションだし、森田さんのtbはフレッド・ウエスレイな強さ。管の部隊ははずさない上手さ安心して聞ける。ゲストの大門さん、いい感じ。

最後はNaoeさんのボーカルで"カチータ"で盛り上がって終了でした。

個人的好みで言うと、全体的にリズムがラテンっぽくなかった。ベースのトゥンバオとピアノのモントゥーノとドラムとのコンビーネーションは、コンガのラテンのグルーブ感に向かってのタッグに物足りない感あり。グループ名から期待した"ランカンカン"でのプエンテ的ドライブ感も。バチャータはナゾ。ラウリン・ロドリゲスでもアントニー・サントスでもJLGでもアベントウーラでもない系統。

だから、ソウル/ファンクとか初期シカゴとかもいいんじゃないかなあ、なんて思ったりして。

◆◆◆


そして2番手はロス・ボラチョス
今回は2名の新メンバーを加え、初めてのライブ。さて?!

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メンツはおなじみ(敬称略)、関川(vo)、原田ケンタ(vo)、藤巻、天神、辻(tp)、渡辺、山崎(tb)、太田(Bsax)、塚本(b)、岩渕(p)、飯山(conga)、オヤマ(tres)に、新メンバー、新井(timb)、宮房(bongo)の14名。 西澤御大(Clave)は欠席。オセ・ロドリゲス(vo)は転勤で一層遠いところへ言ってしまったらいし・・・。

最初からプエルトリコ旗をなびかせ、"~Puerto Rico Mi Amor~Puerto Rico♪"、"~Te Amo, Te Amo~♪"と続くお約束の定番のうちおや?っと思ったのは"La Boda de Ella”の時。

ボラチョスってなんだかゆるいスイングが魅力であり、時にもったりしたりだったけど、今回はピアノとコンガのコンビネーションが前に聴こえてきた(PAのバランスの問題じゃなくて)。それはスイング感。ジャズのじゃなく、島のサルセーロがよく"Mucho Swing"って言うあの感覚。NYのとは違う。それをピアノやコンガがひっぱってる。これはあんまり今までボラチョスでは聴いたことが無い。

そして"Decidete"。いつもよりテンポが速いだけでなく、重くなくスイングする。

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フロアがまたよかった。六本木で教えてらっしゃる、あの○○○さんやお友達が遊びに来てて、音に反応して楽しんで踊ってる。

自分のイベントのように気を使う事も、教えたり、ケアしたり、パフォも関係なく楽しみで踊ってるせいだろか、とてもリラックスして自然な、しかし技術もバンドの音に反応する耳もないとああは行かない、そんなかっこいいダンスを楽しんでた。

そんなフロア側のムードの反射もあったろうか、いつものリラックス but 時に流れるリズムから、けっこうタイトにスイングする音で、ついついアルコールも進んでしまったよ。

ボラチョスのようにメンバーの気心が知れたバンドは、あうんの呼吸で出てくる「お約束」の楽しみがあるけど、今夜聴いて、もっとこのオルケスタのもつ個性、つまり「プエルトリコ」のスイングを突きつめていく余地がいっぱいあるんじゃないかと思った。


「歌と踊りに奉仕するスイング」


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あっというまのラスト、そしてアンコールでは「もう一度最初からやれー」との声に、皆が同調して笑う。確かに短く感じたステージだった。

◆◆◆

終わってメンバーの親爺何名かと話すが、どうも新メンバーあり、ということはやはり影響している模様。新たな求心力やら気持ちやら練習やらが音に出てきてるんだろうか。だからバンドは面白い。

次回のボラチョスのステージは7月25日の午後(時間未定)、吉祥寺の旧伊勢丹跡地(?)の無料イベントだとか。新生ボラチョスの音に興味があるひとは是非どうぞ!
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by mofongo | 2010-05-26 00:14 | Musica/SALSA
2010年 05月 23日
プエルトリコ国会議事堂に24時間"爆弾"
"Bomba" en el Capitolio por 24 horas"という新聞の見出しをWebで見て、やば!テロか!と記事を見ると、なんだ"爆弾(Bomba)”じゃなく、音楽のボンバ(Bomba)でした。ほっ。

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リーマン・ショックもあり、プエルトリコはここ2-3年ほどずっと不況で、教師削減、公務員削減、補助削減とか来ていて、最近プエルトリコ伝統の音楽、ボンバ、プレーナ、トローバ(ヒバロ音楽)などへのサポートを10分の1に削減しようっていう法案が提出されたり。

それに抗議して、議事堂前で24時間マラソン・ボンバが行なわれているって記事でした。
あのクソ暑い議事堂前のスペースで24時間とはすごい。Viento de Aguaのエクトール・ティト・マトスのグループのメンツらしい。

YouTubeで24時間・ボンバ抗議を見る
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Musicos borikuas defienden su cultura a bombazo contra los politicos abusadores
http://www.youtube.com/watch?v=7D8Bi0PctHE

10分くらいの映像で、8分くらいからクアトロとフルートがボンバに参加。これがなかなか良い。こういうのやりたいなあ。

クアトロはマリベル・デルガドですね。上手い。曲は定番"アギナルド・ヒバロ".


プエルトリコで何かを訴える時には音楽、特にボンバやプレーナは欠かせない。


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これはビエケス問題の時のプレーナ。"Que Bonita Bandera"

http://www.youtube.com/watch?v=Zfxe-Vqj_90


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2008年大統領選でオバマ来島の時のテーマソングはプレーナ系。
http://www.youtube.com/watch?v=y8Dzt402rMQ



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一方、ヒラリー・クリントンはレゲトン
http://www.youtube.com/watch?v=BH3K5-CKFho


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これは去年の教員予算削減に対する抗議デモ。プレーナ
http://www.youtube.com/watch?v=YImUQG9G6kQ




今日偶然、「辺野古節」という歌を教えてもらいました。

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辺野古節 -ソウル・フラワー・ユニオン Soul Flower Union
http://www.youtube.com/watch?v=NJOyg6Fc518
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by mofongo | 2010-05-23 13:43 | Musica
2010年 05月 16日
エリアネス・ジャネス追悼ライブ@江古田Buddy
エリアネス・ジャネスに初めて会ったのは一昨年の夏だった。

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友人の東京大学教養学部教員の石橋純さん(最近出版された『中南米の音楽(東京堂出版)の編者としてご存知の方も多いと思います)が紹介してくれた。



ジョルダーノ(ベネズエラのスター歌手)のバンド”セクシオン・リトミカ・デ・カラカス”のメンバーで、自分の好きな作品「Jugando Conmigo」のドラマーだった事を知り、そこからベネズエラの今の音楽と伝統の音との話に移ってとても面白かった。ダイナミックなところと繊細な所を両方持ち合わせた彼の話は、音楽に対するエネルギーにあふれていた。

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そして何より驚いたのは現地での活動の合間に日本に和太鼓の修行に来ているのだと言うことだった。

<鼓童>のベネズエラ公演で和太鼓に魅せられ、親友である石橋さんの尽力をもって93年初来日し、渡辺洋一さん率いる日本を代表する和太鼓集団<天邪鬼>に入門。

95年に次いで3回目の日本だと言うことだった。

◆◆◆


その彼が本年1月、56歳の若さで急逝したと連絡を受けた。実感が湧かなかった。あのエネルギッシュな彼が・・。

そして、石橋さんを中心とするラテン側と渡辺さんの和太鼓側とがジョイントで追悼ライブを行うと言う。

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自分の背景にある音楽をしっかり持ちつつ、和太鼓という自分の文化でない音に情熱的に魅せられた彼。その中で理解、習得、演奏して行く事の楽しさ、苦しさ、幸福さをエネルギッシュに語っていた彼。

たった数時間の飲み会での出会いでもらったメッセージは考えさせられ、共感する所が大きかった。


ラテンでもサルサでもジャズでもロックでもクラシックでもいいけど、日本以外の文化を背景とする音を日本人が愛し演奏する事って結局何なんだ?それを受け入れる地元側の受取り方やその"異邦人"への関わりはどうなの?とかいう事が頭によぎるからです。


エリアネス・ジャネスという人を愛した人たちが追悼に発する音はそんなことも話してくれるような気がして江古田のBUDDYに向かった。

◆◆◆

当夜のメンバー(敬称略)は、石橋純(vo/cuatro)岡本郁生(b)小川ひろみ(和太鼓)澤田勝成(津軽三味線)鈴木裕子(p)、田中孝吉(dr)、モリス・レイナ(vo/g/cuatro)、渡辺洋一(和太鼓)

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ラテン側は、石橋、岡本、レイナ。それ以外は渡辺さんを筆頭に和太鼓側からの演奏者。

一曲目は全員で「コーヒールンバ」。言うまでも無くベネズエラのウーゴ・ブランコの曲。そしてエリアネスの属したアドレナリーナ・カリーベの「身を任せて」、「ベサメムーチョ」と続く。和太鼓の渡辺さんのスペイン語の歌も良い感じ。小川さんもベネズエラン・マラカスを振る。滑り出しはリラックスしたムード。

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ここで和太鼓チームに。澤田さんの津軽三味線の魅力たっぷりの曲。

そして小川さんと渡辺さんが加わる。小川さんは大太鼓に念を込めるような緊張感があふれる音。美しい。

田中さんは「キャラバン」。澤田さんがピアノとメロを取る。澤田さんの三味線の音は、パーカッシブな迫力と繊細な哀感のようなものが同居する。

ここで、ラテン・チームに。





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石橋、岡本、レイナのラテンユニットでは石橋さんは「エロルサの祭り」。ジャネーロ・ホローポ/パサーヘで宇宙へ旅立った魂を悼み、レイナさんのクアトロの独奏へ。

津軽三味線に挑発されたかのような激しさと繊細さの同居。6/8と3/4が交錯。クアトロから出るダイナミクスに圧倒される。

そして石橋さんの「津軽山唄」、「ソン・デ・ラ・ロマ」と続く。リフレインでモントゥーノ的にスペイン語と日本語でエリアネスへの思いを歌いこむ。


再び日本側に戻り、渡辺さん登場。スリーディグリーズの曲ともう一曲、そして「曼荼羅」という曲。

大太鼓を真ん中に締太鼓、平太鼓やタムが並ぶ。小川さんとの和太鼓のリズムの合わせがとても面白い。

ラテン組の演奏の時に「なぜ我々は通称"一本締め"(よーーっ、パン、というやつ)という、不思議なリズムの合わせをピタっとと出来るのか」と言う石橋さんの話があったが、一定のパルスが常に体内にある、アフリカ系のリズム感覚との違いはとても不思議だ。

それは普段、盆踊りの炭坑節の譜割りとか、地元の某音頭のメロの譜割りと踊りの譜割りのズレとの感じを不自然と感じない、パルスとは違う、時間の割り方・割られ方・括り方と重なる。パルスで合わすのと異なるリズム感覚。

まあヨタ話だけど、メセニーのメロディーを真ん中にして拍子が次々に変わる譜割りとか、同様の中近東の音とかとのサブサハラ・アフリカ的でない音との共通点を思ったりもする。

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途中からドラムが8ビートを叩き出し、その上で太鼓がフレーズを紡ぎだす。そしてそれから切り替わってドラムがリードしない形に。

渡辺さんの音には和太鼓としての音と、それから自由に広がり時にはラテンにも聴こえるフレーズが飛び出す。しかしスウィング感というかタイム感などはラテンと異なり、そこがとても面白い。

そして全員がステージに上がる。渡辺さんののリードによる、ラテン的に言えばデスカルガ。

大太鼓の2発の響きからスタートした「魂の遭遇」という曲。

エリアネスを悼む気持ちを音を発することで表そうとした演奏者が集まったこの最後の曲では、彼の地ベネズエラの背景を強く持った音と、我が地日本を強く感じる音、そしてその間で2つのポジションを自由に行き来する音がめまぐるしく飛びかった。

それは一曲の中でも数小節、いや数拍の間でも色合いが変わった。

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それは"Fusion"や"Mix"と言った「混じり合った」音ではなく、各々の自分の音を真っ直ぐに発する中で、個々の音がその場の耳で相互に影響するものだった。「行き来する」感覚。それがとても自然。

それは、エリアネスを追悼・送る為の曲というより、彼と一緒に演奏をしているような感覚。日本式の「太鼓歌/タンボール」を一緒に奏でる事で、彼との最後の共演を果たしていたのかもしれない。


◆◆◆

ステージが終わり、改めて「異文化音楽問題」を考えてみたが、結局答えは出ない。でも、オーセンティックな音を、真っ当に追求すれば/しても、真っ当に精進すれば「自分の音」にたどり着ける/着いてしまう、のではないかと思った。

その結果は玉になるか石になるかは分からないし、玉にするのは簡単でないだろうけど、真っ直ぐやるしか面白いものにならないだろうなあ、というバカみたいな感想が浮かんだのだった。
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by mofongo | 2010-05-16 12:11 | Musica