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2010年 12月 23日
Viento de Agua /ビエント・デ・アグア - 熟れた果実- Fruta Madura
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ビエント・デ・アグアってグループ名を知ってる人は、カリブ系ラテン音楽を10年くらい聴いてるか、プエルトリコやNYの音に興味がある人だと思う。

1997年プレーナとボンバをベースにしたとても新鮮な音でデビューしたグループ。翌年に『De Puerto Rico al Mundo/プエルトリコから世界へ』っていうかっこいい盤をリリースした。
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◆◆◆

90年代はプエルトリコではプレーナ・リブレを筆頭に、若いプレーナのグループが続々と出てきた頃で、自分もずいぶんライブに遊びに行ったり、知り合いもできた。

プレーナ・リブレのリーダーのゲイリー・ニュネス、プレネアロのリーダーのイバン・リベーラ、セペーダ一家のモデスト・セペーダ、ヘスス・セペーダ、マリオ・セペーダジォバニ・イダルゴアンソニー・カリージョカチェーテ・マルドナード・・・・いろいろボンバの太鼓"バリール/Barril"や"クア/Cua"の事や、プレーナの楽器"パンデレータ/Pandereta"や"グィロ"の事を教えてもらった。

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(写真はカチェーテ・マルドナードとマハドーレスの仲間たち)


バリールには3種類あり、ブレアドール、スビドール、プリモと名前が付いている。

コンガが好きな人は、プエルトリコ系の奏者とキューバ系の奏者で音の好みに一定の傾向がある事に同意してくれるのでは。自分の感覚ではキューバは湿って/丸くて、プエルトリコは乾いて/とがっている気がする。それはこのボンバのバリールの音と無縁ではないとか思う。

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(写真はセペーダ一家)


プレーナのパンデレータにはセギドール、プンテアドール(又はセグンド)、レキントの3種類がある。レキントはソロを取るのでかっこいい。プレーナのパンデレータを"プレネーラ"と呼ぶ人がいるが、地元のミュージシャンはほぼ100%パンデレータと呼ぶ。LP、CDなどの音源や教則本などの表記も同様。

友人のプレーナ奏者たち(これはプレネーロ(Plenero)と呼ばれる)が説明してくれた話によれば、プレネーラというのは「プレーナの楽器」の意味だから、自分はパンデレータもグィロもいっしょになってしまうし、または音楽家は楽器のことはきちんと楽器の名前で呼ぶからパンデレータと呼ぶ、ということだった。

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(写真はプレネアロ)


加えて言えばパンデレータ奏者は時に自分の担当楽器は「パンデレータ」ではなく「レキント」だとか「セグンド」だとか具体的な名前を言って「パンデレータ」すら使わない場合もあるという、心意気も見せる。サックス奏者が「テナーやってます」「アルトです」というのに似てる。

一方、演奏しない普通の人や、たまのパーティーで使う程度の人はプレネーラと呼んだりもする。プレネーラはLP社のパンデレータのセット、又はそのコピーの中国製の簡単なパンデレータ・セットの商品名でもある。だからパッケージにそう書いてあるままに呼んでいるともいえる。「プレーナの楽器」程度の意味で使う人もいるので通じる。ただ「サルサ・ファンはまずパンデレータだ、グラン・コンボの名曲"Con Guiro y Pandereta"(グィロとパンデレータ)があるからね」、と説明してくれる親爺もいた。
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*ちなみに「パンデレッタ」というカタカナ表記も見るが、tの字はシングルなので促音ではなく、スペイン語発音とは異なる。アルファベット通りの発音だと「パンデレタ」ですね。カタカナ表記の場合、便宜上アクセント部(この場合は「レ」)を長母音的に伸ばす表記「-」を入れる事が近年は増えてきているので、自分は「パンデレータ」を使っている。ウイリー・コローン(ロにアクセント)とか。
◆◆◆

さて、楽器の事はこのくらいにして、当時日本でそんなことを嗅ぎつけていた東琢磨さんからの依頼で『ラティーナ』誌や『アンボス・ムンドス』誌にボンバとプレーナの記事を書いたりした。

その中で一押しだったのがこのビエント・デ・アグア

その彼らが13年ぶりに新譜をリリース。これが良いのです。

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プレーナのパーカッシブな面が十分に出ていると同時に、ジャージーなアレンジが曲に変化をつけてかっこいい。ティト・マトスの歌も力強い。

また曲のテーマもプエルトリコの現状に対するプロテストから、アフロ・ルーツの事、愛、偉大なプレーナ奏者へのオマージュ・・とバラエティーに富んでいる。
日本盤もリリースあり。買うなら歌詞の訳が付いている日本盤がおすすめ。

→発売元:メタ・カンパニーへ

→YouTubeでPVを見る

1枚目をリリースした後の彼らの活動は、2004年に"ビエント・デ・アグア・アンプラグド"という管楽器などが入らないアーセンティックなユニットでCDをリリース。

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また、エディー・パルミエリの初のプレーナの作品に参加したり、リッキー・マーチンの『MTV Unplugged』への参加、またジャズではダビッド・サンチェス、ウイリアム・セペーダ、ミゲル・セノーンなどの作品にひっぱりだこだった訳です。

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と言うことで、リーダーのティト・マトスにインタビューした記事を『ラティーナ』誌の1月号(12/20発売)に載せて頂きました。
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『プエルトリコの文化と伝統を伝える ビエント・デ・アグア』という記事です。
4ページ・カラーで関係CDの紹介もしています。ティト・マトスは、こちらの細かい質問にも丁寧に答えてくれたので、この作品を楽しむのに役立つと思います。興味のある方はぜひ。
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by mofongo | 2010-12-23 15:55 | Musica
2010年 12月 02日
ホベルタ・サー&ペドロ・ルイス@リキッドルーム 2010.11.30
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ペドロ・ルイスは友達のTatzに教えてもらったのが最初。彼はMocidade Vagabunda (モシダーヂ・ヴァガブンダ=グダグダな青春)っていうグループの一員。このグループ、とってもかっこいいサンバを中心とした音楽をやるのだ。CDも出している。(MVの事はまた別の機会に)

→Mocidade Vagabundaのサイトへ

ペドロ・ルイスと彼のグループParede(パレーヂ)からホベルタ・サーを聴くようになった。

ブラジル音楽に初めてやられた頃、アルシオーネの『Alerta Geral』やベッチ・カルバーリョの『Mundo Melhor』とかあったせいか、女性の歌に弱い。ホベルタを初めて聴いた時も、無意識に彼女らと重ねてみたりだったのだけど、そのうまさと声ざわりでファンになった。

今まだ29才、初々しささえ残る歌は今しか聴けない。そしてこれから先彼女がどう変わってゆくのか聴いて行きたい、とか思いつつリキッドルームに向かった。

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19:30を回ってフロアはステージが始まる期待感で一杯。DJは中原仁さん。

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一曲目は広がりのある穏やかなデュエットでスタート。ペドロ・ルイスのアルバムの曲だ。なんだっけ。

2曲目から4曲目は彼女の1枚目『Braseiro』から。3-4曲目のリズムのフィーリングにうっとり。特にドリヴァル・カイミの4曲目はとてもよかった。

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ロベルタの声はとても安定していて、細かいニュアンスをしっかり歌い込む。声を「押す」ところ、「投げる」ところ、「切る」ところが普通に話しているように瞬時に選ばれ、揺らぐことなく声になっている。

そして何と言ってもリズム感。そこが一番ノックアウトされたところ。これがバイーア/ノルデスチの感覚?引き込まれるノリ。

音もリズムも外れないって、当たり前に音程や拍に乗っかってるって事ではない。歌を彼女のやり方でドライブ/グルーブさせる為の、動かせない一点一点の場所に感情と声を置くことが出来るってこと。

歌詞を予習していった曲は、言葉が彼女の体を通して歌となり、こちらの体に入ってくるのがより強く感じられる。

それがキュートな笑顔やしぐさと組み合わさるのだからやられたー。

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ペドロ・ルイスはロベルタをメインに出しながら何曲かでリードを取り、ギター、カヴァキーニョ、小物のパーカッション、コーラス。ホベルタを支えるのが楽しそう。

バックも素晴らしかった。ホドリゴ・カンペーロ。ギターを弾きつつ、PCをコントロール。音色のカラフルさと時に「ロック魂」を感じるアタックがとても良かった。
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そしてドラムのエルシオ・カファロ。大きなタイム感がタイト。そしてドラム臭くなくて素晴らしい。 この2人が作る時にすきまのある音が、ホベルタの歌と絶妙のバランスだった。



「Menina Bonita」、「Fogo e Gasolina」・・そしてロックやレゲエ/スカ/ラップと言った今の”標準装備”の音の色がブラジルの色と混じり合うグラデーションはとても面白い。

アンコールはアドリアーナ・カルカニョットも歌っていた「Mao e Luva」だった。うれしい。ペドロの作品。
そして宮沢和史が『Afrosick』でペドロと共作した「Brasileiro em Toquio」。フロアはウエイブ。

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アンコール2曲やってくれてもやっぱり収まらない。拍手が続き4人が戻ってきて最後にサンバ。男3名がリズムを繰り出しホベルタがリズムに乗って歌い舞う。とても小さな編成から強固で濃密な時間が作り出される場にいるのはとても幸せだった。

@Liquidroom, Ebisu, 2010.11.30

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来日特設サイト(http://www.latina.co.jp/robertaepedro/top.html)
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by mofongo | 2010-12-02 01:28 | Musica