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2007年 12月 12日
空港に着いたのは夜11:00過ぎ。いつものマチェル・モンタノの広告が迎えてくれる。荷物が出てこない。そのうちコンべアが止まる。くそ、ロストだ。 見ると、周りで30人くらいが憮然とした顔してる。ふーん、これなら明日には出てくるな。 アメリカンのカウンターでロスト・バゲッジの手続きをサクっと済ませ表に出る。 もう0時を回ってる。タクシーしかない。 トリニ弁がんがんのタクシーのおっちゃんにOld calypsoのラジオ局をに合わせてもらう。ロアリング・ライオンの曲が最初に流れた。おっちゃんとは最近の治安の話で盛り上がる。 景気が良いのだ。石油やエチレンの価格が高止まりしてるから政府は金をばら撒くし、そのせいか首相は再選を果たすし、それがまた安定感を生む。 同時にこういう景気の話は、必ず恩恵を得ない層と拝金主義のコンビネーションが治安の問題を生む。おっちゃんの話によれば、南米からUSへ流れるドラッグのルートの一つ、カリビアン・コリドー/ベネズエラ・ルートの南端のトリニダードをブツが通過する。そしてそのとき、護衛に使われた軽銃器が国内に残るのだそうだ。 そいつは当然ディーラーの抗争に流れたり、キッドナッピングに使われる。 やれやれ。。。でもそれもトリニダードの現実。 さて、今回は仕事の予定がたっぷり。それでもいくつか骨休めもあり。 まずクリスマスのムードはパラン(グ)(Parang) 。ちょっと練習を見に行った。パランをやるグループはパランデーロスって呼ばれる。この日のグループはLos Buenos Parranderos。Silver Starsのスティールドラムとの共演。いやー、いいすなあ。 パラングの語源はプエルトリコでもクリスマス定番のパランダと同じ。スペイン系の伝統。 4弦のクアトロ、マラカス、ギターなんかで奏でられる。西語で歌われ、メロディーもスパニッシュ。トリニでは日常の音楽ではない。だからこれを聴くと、ああトリニはクリスマスなんだなぁとしみじみする。 近くの食堂で昼飯。今年のワールドカップ・クリケットの時オープンした"Bat & Ball" 。クリケット・ヤードの隣にある。古いイングリッシュ・パブのスタイルでなかなか良い感じ。 こういう所にくると、英国との歴史を感じるね。 飲み物はソレルを頼んだ。ソレルは赤い実から作られる酸味のある飲み物。これもクリスマスの定番。 その他にも、トリニのクリスマスには色んな定番メニューがある。これがまたこの時期のトリニの楽しみの一つ。 しかし、トリニの12月はクリスマスのパーティー・タイムと共に、「いよいよカーニバルが近づいたぞ!」って感覚のほうが強い。 新聞でも'08のコスチュームを改めて取り上げ、ところどころでPan Festivalが始まり、パンヤードでは練習に力が入る。 飯の後、近くの"Island People”の事務所とその関連のマスキャンプ"Island People Mas"に行ってみた。 Island Peopleは建物もトリニの国旗カラーで決めててすばらしい。事務所のほうはイベントを扱っている。カーニバルのパッケージももちろんの事、地元のAll-inclusiveのパーティーも。バンドから飯から飲み物から、これでもかと企画がついて一人US$30くらいで十分なのはすごい。 さてお目当てのマスキャンプ。マス・キャンプとはカーニバルのコスチュームを作っているところ。Island Peopleはその中でも大手。今年はAnimal Instinctiveがテーマとか。 いやー、みんな一生懸命製作中だったけど、素晴らしい出来。電池切れで写真が無いのが残念だけど、彼らのサイトで見て見てください。。 http://www.islandpeoplemas.com/ 夜に手近なWoodbrookのパンヤードを3ヶ所回ってみた。 ■Silver Stars まずは昼間パランの練習を聴きに行ったSilver Stars。ここはレネゲーズみたいに大手じゃないけど、昔からのパン・オーケストラ。ミディアム・バンドの編成。 ベース・パンの迫力がすごい。 通常日本じゃ6ベース(ドラムカン6本)だけどここでは9ベースでした。コンサート・マスターの指導があるとぐっと音が締まる。 ■Woodbrook Playboyz こちらも歴史あるパン・オーケストラ。カリブ・ビールでのどを潤しながら見学。 小さい編成でのグループが練習中。 お、これはブラック・スターリンの91年の大ヒット"Ah feel to Party"だ!Blackman feel to the party, blackman feel to chacha~♪っていうパーティー・チューンだけど、ブラック・スターリンが偉大だって言うのがよく分かる。そしてこういう風にそれに対するレスペクトがあるのがこれまた素晴らしい。 演奏は、なかなか凝ったアレンジでとても良かった。テナー・パンがばっちり合うのは当然として、素晴らしかったのはダブル・センカンド・パンのリズム感がちょっと濁らせたような音質とマッチしてすごく説得力のある演奏。いやー、小編成のパンは一人ひとりの個性が楽しいね。 ■Invaders ここは老舗。ビッグネームの一つ。 ジャコ・パストリアスが好きな人なら"HOLIDAY FOR PANS"ってアルバムをご存知でしょう。あそこで素晴らしいパンのプレイを聞かせてくれているオテロ・モリノウ(Othello Molineaux)はこのインベーダーズの出身。 いやー、さすが練習とはいえダイナミクスの付け方が素晴らしい。テナーの息がいまひとつ合わないとディレクターがすかさずストップ。チェロ・パンの兄ちゃんの動きがかっこいい! 責任者っぽいおじさんが色々説明してくれる。 「ほら、あそこの中国人、今年の夏に日本に行ったんだぜ」 そうそう、今年の夏、Caribbean Magic Steel Drum Orchestraが来日しましたね。 レネゲーズのメンバーが中心だったけど、インベーダーズからも居たんだね。 その後、倉庫や過去のトロフィーなんかも見せてくれた。 そして、この年はどうだったあ、ああだったと説明してくれた。どんなプレーヤーがいたかとか。 PlayboyzのヤードにもWinston Spree Simonのポスターが飾ってあった。 彼は、1930年生まれ。彼こそが、タンブーバンブーが禁止された頃、代わりになべを叩いているうちに音階が作れるのを発見して、スティールパンが生み出されるきっかけとなった伝説のプレーヤー。9才でバンドリーダーとなり、15才でJohn John Bandのリードを勤めたそうです。 まるで、彼がつい昨日までそこにいたような話しぶりに、伝統ってなんだろ、って思う。 伝統って、きっと昔の事じゃなくて何が素晴らしいかって時を越えた基準があるってことなんだろなあ。 CD1枚買って、おっちゃんにお礼を言ってTragarete通りをふらふら歩く。 ビールとフェルナンデスのラム・コークで気持ちよくなった頭に風が心地よかった。
by mofongo
| 2007-12-12 21:33
| Musica
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